コラム
「日本流通産業新聞」2月7日号掲載2019.2.7(投稿日)
基礎講座Q&A vol.53 「Q.クロスセルにつながらない。どうしたら増やせますか?」

「日本流通産業新聞」 2月7日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.53 「Q.クロスセルにつながらない。どうしたら増やせますか?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

 

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Q.クロスセルにつながらない。どうしたら増やせますか?

洗顔料で新規顧客を獲得しています。その後、他の商品をサンプル送付したり、セット割引キャンペーンなどいろいろ実施していますが、なかなかクロスセルにつながらなくて困っています。何か方法はないでしょうか。(中堅化粧品通販会社)

 

A.「関連性」「会社のファン育成」…ポイントは3つ

◆クロスセルは本来難しい

 これは、化粧品の通販会社だけでなく、多くの通販会社に共通する悩みだと思います。
 そもそも中堅規模で「通販」を展開するなら、「一品売り」が効果を発揮しやすいのではないでしょうか。「単品通販」は、ユニークな商品を個性的な広告で強くアピールし、購入につなげていくことが得意のはずです。
 通販化粧品で、いい例が「オールインワン化粧品」でしょう。通販業界から火がつき、今では店頭販売にも波及して一大ブームを作りました。
 もし化粧品をラインアップで売ることを目的とするなら、対面販売の「訪販」の方が、はるか適していると言えます。お客さまの自宅など身近なところに伺って、フルコースのお手入れを施し、時間をかけて納得いただくので、高額商品のラインアップの販売が可能なのです。
 このように本来、単品通販はクロスセルが難しい業態です。しかしクロスセル販売をしなければ、顧客単価は上がらないので、化粧品販売に不可欠な情報提供や十分なサービスを行うためのコストが捻出できません。そこでクロスセルを広げて、「単品通販」というよりも化粧品というジャンルの「複数通販」を推進しなければならないと思いますが、そのための成功ポイントについて考えてみましょう。

◆商品に関連性はあるか

 クロスセルに不可欠な条件として、一つ目は商品に関連性(つながり)があるかということです。関連性とは、共通の考え方やライン使いによる相乗効果などです。例えば最初にオールインワンゲルを売ったら、メークのオールインワンであるBBクリームをクロスセルするなどの方法です。
 ここにはスキンケアもメークも「オールインワン」という共通の考え方があります。そして「このBBクリームは、このゲルと相性がいい」など、セット使いする方が他社製品を使うより圧倒的に優位である、と相乗効果をアピールするとクロスセルの機会を広げやすくなります。
 ただし、他社の安いBBクリームでも効果が変わらなければ、お客さまは安い方に流れます。そう思わせないためには、商品設計の段階から「買わなければならない強い理由」を作っておくことが必要だと思います。
 もし、既存商品で薦める場合は「共通成分が配合されて、保湿力が高くW効果」というような関連性を見つけ、ていねいに説明しましょう。関連性やつながりの全くない商品よりは、お客さまも納得し、購入につながるのではないでしょうか。

◆会社のファンになって

 二つ目は、商品だけでなく会社のコンセプトや主張もよく知ってもらい、会社のファンになってもらうことです。
 「自然派の○○」というようにコンセプトにひも付けたブランド名や社名を訴求し、会社のファンを育成すると、最初に購入した商品以外にも関心を広げてもらうことが可能です。
 逆に、単品としての「商品の売りイメージ」が強すぎると、「会社=商品」となり、他の商品が売りにくくなります。
 今は「モノを作って売る」だけではなく、会社の主張やコンセプトも一緒にアピールして、共感、信頼してもらうことが大切だと思います。
 理想的には新規で単品を売るときから「こういうコンセプトで作っています」とアピールすることです。最初に会社のファンになってもらうと、後のクロスセルが楽になります。

◆実例と特典のアピール

 三つ目は、「関連商品をラインアップ使いしてきれいになれる」という証明がほしいところです。そのためには、複数点数愛用者には希望があれば、「ご優待として肌診断のサービス」なども喜ばれるでしょう。
 もちろん、クロスセルで購入すると、お得、便利というような特典も必要です。同じレベルの商品であれば、少しでもお得に買いたいと思うのは消費者心理です。関連商品のライン使いできれいになれると信じることができて、さらに今ならセットで割引、というメリットが明確に打ち出せたとき、初めてクロスセルが広がってくると思います。

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