コラム
「日本流通産業新聞」9月5日号掲載2019.9.5(投稿日)
基礎講座Q&A vol.57 「Q.お客の特性がつかめない」

「日本流通産業新聞」 9月5日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.57 「Q.お客の特性がつかめない」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

 

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Q. お客さまの意識や買い物行動など、いわゆる顧客像が把握できずに困っています。欲しい商品やサービスなど、寄せられる意見にも一定の傾向が見られず、要求がバラバラなので、販売戦略も立て難くなっています。何か良い方法はないでしょうか。(中堅化粧品会社)

 

A.コピーや世界観に一貫性はあるか

 

◆通販はコピーが命

 通販化粧品のお客さまに、愛用ブランドとの最初の出会いを聞くと、「〇〇と書かれていたから」とか「〇〇という言葉にひかれた」などの回答が多く出てきます。そして実際に使ってみて、「その〇〇を実感したから」というのが、多くの継続顧客の回答です。
 ブランドの訴求コピーとお客さまの実感が一定の方向で一致していると、お客さまの好みにもある一定の傾向が見えてくるものです。特にロイヤルユーザーは特徴が似てきます。それがバラバラだということは、初期の段階の訴求ポイントが絞られていないのではないでしょうか。
 私は通販化粧品を売るのはコピーライターの仕事だと思っています。”言葉”で使い心地やなりたい肌のイメージを伝えることで、お客さまの共感を得なくてはならないからです。
 同じ化粧品販売でも店頭販売では、店づくりや容器のデザインなど視覚的な世界観をつくるデザイナーが重要な役割を果たすことになるでしょう。訪問販売は、アクター(役者)のような販売員が鍵となるはずです。

◆重みが不足した言葉

 このように通販化粧品は他の業態以上に”言葉”が重要なビジネスですが、実際には各社とも同じようなコピーを多用している例が多く見られます。
 ウェブの普及とともに誰でも情報を発信できる世の中になり、少し言葉から”重み”がなくなってきているような気がします。
 最近の通販化粧品のコピーも耳障りがいいだけの軽い言葉が目立つような気がしています。
 通販化粧品のコピーは誰に向かって、何を訴えているのか明確でなければなりません。誰にでも耳障りの良い言葉のみを発信していると、お客さまはバラバラになってしまいます。
 また、言葉は文化なので、世代や体験によって変化するものです。果たして厳選されていないありきたりの言葉で、世界観を表現できるものでしょうか。

◆統一されたコピー

 また、通販化粧品の購入経路が様変わりしている点にも注目する必要があります。かつてのようなテレビ・新聞・雑誌広告からだけではなく、今はさまざまな経路から購入に至るケースが増えています。店舗で購入してから通販に移行したり、インスタグラムやウェブサイトで検索して購入するケースも多く見受けられます。
 複数の購入ルートが存在する中、貴社では訴求ポイントやキーワードに統一感を持たせているでしょうか。
 もちろん接触チャネルに合った言葉を使用するべきですが、メインの訴求ポイントは、ぶれないようにしないと、当然お客さまもバラバラになってしまいます。
 競合他社とのせめぎ合いを優先して、自社のコンセプトを見失い、差別化できないような言葉をばらまいていると、求心力を失うことになりかねません。
 言葉はオリジナル性のある自社独自のコピーが望ましいですが、商品を使用した後でその言葉が”実感”として感じられるものかどうかが、信頼を獲得できるかどうかの鍵となります。
 つまり、テクニックだけの言葉では通用しない時代になったと言えるでしょう。

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