コラム
「日本流通産業新聞」2月10日号掲載2022.2.10(投稿日)
基礎講座Q&A vol.79 「Q.売上アップの役に立たない会員情報誌をやめようかと思う。」

「日本流通産業新聞」 2月10日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.79 「Q.売上アップの役に立たない会員情報誌をやめようかと思う。」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.売上アップの役に立たない会員情報誌をやめようかと思う。
 創業以来、売り上げは順調に伸びて中堅といわれる規模になってきました。しかし社内は少数精鋭で運営しているため、常に人手が足りない状態です。中でも会員情報誌の発行は手間暇もコストもかかる割に、売り上げに貢献しているかどうか不明なので発行をやめようかと考えています。(中堅の通販化粧品会社)

A.会報誌はブランディングの中心、ファンとの絆にも
◆役立つ内容が不足している

 会員情報誌が「売り上げに貢献しているかどうか不明」ということですが、それは「お客さまの役に立つ編集内容」にする工夫が少し不足しているのかもしれません。
 弊社が過去に手掛けた事例では、情報誌を大幅にリニューアルしたところ、売り上げが対前年比130%を4年連続で達成した例があります。もちろん同時に新規顧客獲得も拡大していたからの結果ですが、同様の例は、他社の案件でも多くあります。
 弊社が会員情報誌のリニューアルを依頼されたときには、まず徹底してお客さま調査から始めます。定量調査、定性調査、過去の会報誌やDMの発信内容と商材別の売り上げデータを詳細につき合わせて、お客さまの嗜好や傾向、買い物行動のパターンを調べつくします。
 そして、お客さまが何をご不満に思っているか、どんな情報を欲しているかを調べて、何をお伝えしなければならないかを考えます。丹念にそれを繰り返し、お客さまのペルソナ像を設定し、情報発信の課題を見つけて、会員情報誌の発行目的やテーマ、毎号のコンテンツと表現方法を決めていきます。

◆ブランディングの役割を

 さらにはターゲット層に受け入れてもらえるような言葉の使い方、ビジュアル表現などを研究し、会員さまに「届くのが楽しみになる」と言ってもらえるような情報誌づくりを目指しています。
 この段階になるとある程度は成功が見えてきます。つまり弊社が考える「通販化粧品の販売における会員情報誌」は、ブランディングの一環で、お客さまと強い絆で結ばれるための最強の情報発信手段なのです。
 紙媒体で、あるいはウェブで、届ける手段はさまざまになりつつありますが、会員さまに定期的にお届けする「マガジン」は、化粧品情報だけにとどまらず、ライフスタイル提案、暮らしのヒントなど、お客さまに「役立つ情報」をお届けすることによって、お客さまと私たちをつなぐ「絆」にすることができるのです。

◆付加価値ある販売を目指す

 もちろん売り上げ拡大に貢献するためには、販売促進の情報も欠かせません。ほとんどがリピーターのお客さまの場合は、多少のサービス価格提示も必要でしょう。しかしそれが主体ではありません。いつも割引価格を提示しているとバーゲンブランドになって、そのうち正価では売れなくなってしまいます。
 「割引で売る」のではなく、「価値で売る」べきです。そのためには、「お客さまが欲しいと思っている情報を提供し、自分の役に立つブラントだ」と思ってもらうことが必要なのです。
 お客さまが化粧品を購入する理由は、自分の悩みを解決したい、きれいになりたい、自信を持ちたいなどさまざまです。その思いに寄り添い、お悩み解決のヒントになるような情報を提供することができれば、とても喜ばれると思います。商品プラス情報という付加価値のある販売を心掛けたいものです。

◆お客にも参加してもらう

 弊社が会員情報誌を制作するときにこだわっているもうひとつのポイントは、お客さまにも「参加」してもらうということです。方法はいろいろ考えられます。お客さまの要望などを「お声」という方法で寄せていただく、あるいは「アンケートへの回答」で参加いただく、会社の「イベントや座談会」に参加していただくなどいくらでもあります。
 また、会社側の主張を一方的に伝えるだけでなく、お客さまのご意見(感謝、疑問、要望、不満などすべて)も包み隠さず掲載すると、信頼感が高まると思います。
 リアルなお客さまの声を取り上げることで、会社とお客さま、またお客さまとお客さまの交流の場になり、会員情報誌を起点に交流の輪が広がります。そうすると商品開発にも、販売手法にもさまざまな要望やアイデアが生まれることになります。
 お客さまのお声は、通信販売にとって最大の「宝」です。会員情報誌はその「宝」を集めたり、発表したり、業務の改善改良の指針にしたり、お客さまにとっても、会社にとっても活用次第で大きな貢献も成果も期待できるようになるのです。
 目先の売り上げ貢献だけではなく、将来にわたってブランドを育てていくためのツールとして、会員情報誌を育ててほしいものだと思います。

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