コラム
「日本流通産業新聞」 5月15日号掲載2014.5.15(投稿日)
基礎講座Q&A vol.21  「Q.当社でも無料サンプルができるか」

「日本流通産業新聞」 5月15日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.21 「Q.当社でも無料サンプルができるか」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.当社でも無料サンプルができるか

 

新規顧客の獲得が横ばいです。

見込み客数を増やすため他社がよくやっている

サンプルセットを無料でお届けする

「無料サンプル」キャンペーンをやってみようかと思っています。

立派なポーチをプレゼントしている会社などもありますが、

当社では見込客獲得に、正直そこまでの予算をかけられません。

(中堅の通販化粧品会社)

 

 

 

A.目先の「数」で、本質を見誤らないで

 

新規顧客の開発は、化粧品通販において永遠の課題です。

 

店頭販売のように商品を手に取ってもらえる機会がないため、

お客さまになってもらうには、

まずは商品を手元に届け、試してもらわなくてはならないからです。

 

そのため、多くの化粧品通販会社が多額の予算をかけて、

「無料サンプル」「無料モニター」など、

お客さまが飛びつきやすい魅力的なキャンペーンを展開しています。

特に「無料」は、お客さまが気軽に飛びつくキーワードですから、

マス媒体で広告すると確かにたくさんの応募があり、

見込み客リストはぐっと増えます。

 

◆成功事例はひと握り

しかし「無料」の販促で集めたお客さまを、

本品を購入する「アクティブ顧客」に育成させて成功している企業は、

実はほんのひと握りです。

 

実際に無料モニターを実施している企業の方々にヒアリングすると、

多くのお客さまがモニターのみで離脱してしまうという話を聞きます。

 

その理由は、「無料」で入ってきたお客さまは、

「得」だから応募したのであって、

その商品の特徴や効果をちゃんと理解しているわけではないからです。

 

今の自分に必要だから買うのではなく、

とりあえず安いから買っておこうという、

スーパーの特売品を買うのと同じ感覚です。

 

旅行に便利そうと思って化粧品のサンプル請求をして

そのまま洗面所に置きっぱなし……

なんて経験はありませんか。

そんなお客さまに本品購入を勧めるDMを送っても、

捨てられておしまいです。

これではいくら見込み客リストの人数が集まっても、意味がありません。

 

では「無料」の販促が成功している

ほんのひと握りの企業はどんなものでしょうか。

 

弊社では、通販化粧品のサンプルを取り寄せる

「ミステリーショップ調査」を定期的に行っていますが、

成功している企業は初回の電話の応対が、他社とまったく違います。

 

サンプル請求をした電話の時点で、

お客さまの肌悩みをヒアリングし、簡単なアドバイスもしてくれます。

その後、肌悩み解決のフォロー電話などで本品購入に誘導しやすいように、

初回の電話からきちんとシナリオ(スクリプト)があるように思います。

 

そんなマンパワーと営業力を持った

コールのオペレーターをそろえた会社だったら

「無料」をやる価値はあると思います。

しかし、電話をかけてくるお客さまの多様な肌悩みに丁寧に応対し、

的確なアドバイスができるコールセンターの体制を整えるのは

企業にとって並大抵のことではありません。

普通は鳴り続ける電話を取るだけで手いっぱいになるでしょう。

 

事実、ほとんどの企業は、

電話をかけるとサンプル送付先を聞かれて終わりでした。

 

◆投網方式より一本釣りを

新規顧客獲得という命題の元では、

1000人応募がくるより1万人応募が来る方が「成功」といえるかもしれません。

しかし、無料サンプル以降購入がなければ、

その1万人は「顧客リスト」にはなりません。

 

1万人を手厚くフォローできる予算がかけられるのであれば

「無料」という「投網方式」も有効ですが、

できないのであれば商品の特徴を本当に理解し、

必要と感じて買ってくれるお客さまを

「一本釣り」したほうが確実なのではないでしょうか。

 

新規顧客獲得が横ばいという話ですが、

御社の商品を必要としているお客さまに真っすぐ届くように、

もう一度、商品、クリエーティブを精査してみてください。

 

一例ですが、今までライン使いで打ち出していたのであれば、

思い切って特徴的なスペシャルケア1品に絞ってみるとかするだけでも、

何品も買えない、

とためらっていたお客さまが試しやすくなるかもしれません。

 

化粧品通販はリピート客がいて、初めて成り立つビジネスです。

目先の「数」に捉われたり、価格競争に巻き込まれて、

その本質を見誤らないようにしたいものです。

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