コラム
社員コラム2019.1.11(投稿日)
老舗ブランド生き残りの鍵は、“原点にある価値”

 

先日、旅行で長野市の善光寺へ行ったときのことです。

お寺の門前に「八幡屋磯五郎」という創業約270年の七味唐辛子店がありました。

おそらく誰もが見たことのある、唐辛子と善光寺のイラストが描かれた赤いボトルの七味のお店です。中に入ってみると、高い天井のモダンな内装に、おしゃれなパッケージの香辛料がずらり。

店内を見渡して驚いたのは、若い年代層のお客さんがとても多いこと。善光寺へお参りに来たであろうシニア層の方々に混ざって10~20代の女の子たちが「これはどんな味なんだろう?」と次々に商品を手に取っては、買い物カゴに入れていくのです。

店内には七味だけでなく、ガラムマサラやサルサソースなど世界の香辛料なども幅広くラインナップ。さらには柚子や生姜などを配合した化粧品や唐辛子を練り込んだチョコレートやマカロンなどのスイーツまで展開されていて「香辛料とはこれほど色々なものに活用できるのか」と感心させられました。

 

江戸時代から続く老舗が、これほど賑わっている理由はどこにあるのでしょうか。

それは、このお店の原点である「香辛料」の魅力をあますことなく伝えている点にあるのではないかと感じました。

さまざまな商品展開で香辛料の魅力を伝え、新たな活用法を提案する。その上で、おしゃれなパッケージや洗練された店舗で「今」の感覚をうまく取り入れ、幅広い世代に受け入れられているのです。

老舗の和菓子店「とらや」も近年「とらやカフェ」を展開、あんを活用したスイーツやペーストが人気を集めています。日本古来の「あん」を手軽でスタイリッシュに、かつボーダレスに楽しめる提案をしています。

いずれの例にしても、ブランドが持つ本来の価値をみずから理解し、それを存分に活用できていることが成功につながっているといえるのではないでしょうか。

 

老舗ブランドが生き残っていくには、まずどのような資産を持ち、どのようにその魅力を伝えるかという点が重要なポイントといえます。

ロゴやパッケージデザインの変更を検討する前に、まずは創業時からの原点となる「価値」がどこにあるのか、ということを考えるべきではないでしょうか。

 (Y.U)

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