コラム
「週刊粧業新聞」11月16日号掲載2020.11.16(投稿日)
第60回「コロナ禍の元でも売上を伸ばせる会社にしたい!」

「週刊粧業新聞」 11月16日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第60回 コロナ禍の元でも売上を伸ばせる会社にしたい!』が掲載されました!

 

本文は、下記の通り。 

 

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『激変するコスメマーケット』

第60回 コロナ禍の元でも売上を伸ばせる会社にしたい!

 

 化粧品会社の半期決算などが発表され始めた。もともと今年はどこも厳しい決算になることは予測されているので、あまり驚きもない。旅行関連業界や百貨店業界、レストランなどの飲食関連業界などに比較すると、まだ救われる。とは言え、改めてシビアな数字を突き付けられると「この先化粧品業界はどうなるのか?」少し不安になる。
 化粧品の中でも、やはり落ち込みが激しいのは、メイクアイテムの中の「口紅」「ファンデーション」「UV」など、マスク生活で不要になる商品が、軒並み落ち込んでいる。同じメイクでもアイメイクは「マスクの似合うアイメイク」などテクニック込みで話題を呼んでいる。スキンケアは、在宅時間が長くなった分「おこもり美容」的なアイテムが人気のようだ。
 このように、人々の生活がこれだけ変化すると、売れる商品も変化するので、自社の得意分野がどんなアイテムなのかによって大きく売り上げが左右される。世の中のニーズの変化にいち早く対応して、抗ウィルス対策の商品や除菌・抗菌商品、マスクなどを発売した会社もあるが、ユニクロやアイリスオーヤマのように大きく売上を押し上げるほどのパワーにはなっていないようだ。特に私は「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」を作ることを提唱しているアイリスオーヤマの考え方には学ぶことが多い。
 同社は町工場の時代から「経常利益の50%を投資に回す」という基準を設けて、お客様に必要とされる膨大な商品群を開発してきた。今ではすっかり有名になった同社の「プレゼン会議」。毎週月曜日に丸一日かけて行われるこの会議は、社長&会長はもちろん全幹部が階段式会議室に集まって、開発案件を次々に検討・決済されるらしい。ここで議論されるのは、「この製品をお客様が買うか」という一点に絞られ、徹底的な顧客目線で議論が進み、大山会長からは社員に向けて「では、家族が買うか?」という質問も飛び出すとのこと。
 私は、アイリスオーヤマの話を聞くたびに、このような商品開発の仕組みを化粧品でもできないだろうかと考えている。

 弊社で実施している「お客様のグループインタビュー(座談会)」の際に、お客様に尋ねると必ず「商品開発に参加したい」という声が多い。その意欲を取り入れて、年代別、肌質別、肌悩み別に、様々なモニターを用意し、公開討論会のような場で、アイリスオーヤマのような「プレゼン会議」をしたら、どんなお客様目線の評価が飛び出すか、とても興味がある。現実的には、薬機法の問題や開発過程の秘密を担保するという意味から不可能だとは思うが、そのくらい徹底的にお客様に寄り添うような「お客様目線」の発想を、われわれはもう少し強化してもよいと思う。
 もちろん各社とも商品開発前のお客様調査や、発売前のモニター調査を徹底して行っていることは、十分理解している。私が言いたいのはこの制度をもっと拡大して、お客様ニーズの徹底ヒアリングからアイテムのアイデアまで、開発の発想の段階から参加してもらうことはできないか? ということである。そうすれば、通常では考えつかないような画期的な化粧品アイテムが次々に開発されるかもしれない。各社とも似たり寄ったりの商品になりがちな弊害も解消され、AIなどが導入されれば、スピーディーな開発も可能になるかもしれない。

 今回のような緊急事態になった場合には、お客様の声をスピーディーに取り上げて、必要不可欠な商品をすぐに開発できるかもしれない。夢は大きく広がってしまうが、「お客様参加型の商品開発」は、正にアイリスオーヤマが提唱する「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」とも言えるのではないか?

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