コラム
「日本流通産業新聞」3月18日号掲載2021.3.18(投稿日)
基礎講座Q&A vol.70 「Q.何か新しい成分配合の商品を出すべきか」

「日本流通産業新聞」 3月18日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.70 「Q.何か新しい成分配合の商品を出すべきか」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.何か新しい成分配合の商品を出すべきか

最近新しい美容成分を配合した新商品や既存商品のリニューアルが相次いでいます。わが社も新成分を配合した商品を開発すべきかどうか迷っています。「新美容成分を配合した〇〇」など、新発売やリニューアルの記事が目立つので気になっています。わが社は発売から10年目となるロングセラーの看板商品があるので安定はしているのですが、何か新しい成分配合の商品を出すべきでしょうか。(中堅の通販化粧品会社)

A.顧客にどんな便益があるかをまず考えて

◆新成分は魅力的だが…

 通販で化粧品を売っていると、分かりやすい成分訴求や簡単なお手入れ方法などをアピールするだけで、レスポンス率が高くなることはよく経験することです。そのため、大型の新成分が発売されれば気になってソワソワする気持ちはよく分かります。
 しかし、これまで業界内で大型の新成分として話題にあがった商品でも、なかなかヒットに結び付かなかった例はたくさんあります。成分名をアピールするだけで一般の女性たちがその効果効能をイメージできるのは、本当によく知られた成分だけです。
 特別に美容が大好きなお客さまは別として、一般の女性が「美容成分としての認識を持っている」と調査で回答しているのは、コラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタ、ビタミンC、セラミドなどの成分で、その後に続く成分名をあげる人はごくわずかです。
 もちろん原料メーカーも新成分発売時に大型なプロモーションを行いますので、業界内では大きな話題になります。また通販の場合は成分名を入れて「新配合」とするだけで、売り上げが上がることもあります。しかしそれは一時的な現象に過ぎないと思います。
 つまり新しい成分が話題になっているからといって、すぐに取り入れてロングセラー商品をリニューアルしてしまうのは、少し慎重に考えた方がよいと思います。

◆ニーズに合っているか

 まずは、その成分が自社のブランドコンセプトに合っているかどうか、新成分が配合されることで使ってくれているお客さまがどんなメリットを享受できるのかを先に考えるべきです。広告宣伝の文言に組み込む目的で導入するのは、本来の姿ではありません。まずは効果効能の面でお客さまの便益を最初に考えるべきです。
 次に自社のブランドのコンセプトや、これまでの美容の考え方と齟齬がないかどうかも検証すべきでしょう。その上で導入するべきと判断した場合は、新成分が配合されたことで、リニューアルされた商品は、これから先も人気商品であり続けることができるでしょうか。その点も考えておくべきです。
 人気成分を配合したというだけでは意味がないと思います。人気成分を配合したら、さらにレベルアップして、もう一度ロングセラーの道を歩み出すくらいの価値を生み出したいものです。

◆ロングセラーを大切に

 長い間、人気の商品があることはありがたいことですが、ロングセラー商品にも問題は多くあるはずで、今日の化粧品の進化に追い付いておらず、原料や処方が古いために、お客さまから「古いブランドだ」と思われてしまうこともまた事実です。
 圧倒的な支持者が存在するにもかかわらず、衰退が始まっている商品もあるはずです。そのような商品は、新成分の登場に関係なく、常に進化させるブラッシュアップの方法が必要なのではないでしょうか。
 その中で、新成分がコンセプトに合致するものであれば導入すべきでしょうし、方向性が異なるものであれば、別の方法でブラッシュアップすべきだと思います。
 つまり大切なことは、新成分を導入したことでお客さまの便益が増すのか、単なる広告宣伝のためなのかで導入の意味が変わってくると思います。そして今日のお客さまは、そのような開発者の思惑を敏感に感じ取り、自分に利益のない新商品やリニューアルには動かされないものです。
 お客さま自身も進化して賢くなっているので、「〇〇成分配合」だけでは飛び付かなくなっています。例えば、トライアルとして1個くらいは購入しても、自分自身の肌実感が伴わない商品を購入し続けることはないのです。 

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