「週刊粧業新聞」 8月2日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第67回 お客様モニターを依頼し難い弊害』が掲載されました!
本文は、下記の通り。
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『激変するコスメマーケット』
第67回 お客様モニターを依頼し難い弊害
長い間 「マスク生活」を強いられてきたために、もはや「マスク無しでは恥ずかしい」というのは、先日仕事仲間との会話で出てきた声だ。
確かにマスクの下は薄化粧になっているし、アイメイクとリップ&チークのバランスが、自分でもチグハグだと感じる。コロナ禍の中で化粧品販売が一番影響を受けているのは、もちろん対面販売の変化とテスターが使用できにくくなっていることだが、同時に「マスクの下の顔」を見ることができなくなっていることも、大きな痛手だと感じる。
化粧品販売のアドバイスは、お客様の肌を直接見て、触れて、適切なアドバイスをすることだが、今日ではそれもかなり工夫をしないと難しい。アドバイスだけでお客様自身にやってもらうことは、毎日のテクニックにも生かせる。その点は『レッスン』に近い販売になったので、価値があると思う。しかしレッスンも手本を見るからうまくできるのであって、非接触の中では教える技術力も必要になってきた。
いま販売の現場では、「非接触販売」とWebなどを活用した「デジタル販売」に注力して、新たな販売方法を模索している会社が多い。
私がもう一つコロナ禍のもとで、やりにくさを感じているのは、お客様のモニター調査だ。化粧品の新発売前後にはターゲット世代の「モニター調査」をお願いすることが多い。固定客を多く抱えているブランドは、直接お客様に先行モニターなどをお願いすることもある。特に通販では通常対面接客をする機会が少ないために、モニター調査は必須になっている。
もちろん一般消費者にモニターをお願いする時は、一度処方を確定してから実施するので、時間も手間もかかる。しかしロイヤルユーザーなどの代表的な顧客に調査を依頼することで、お客様との信頼関係は格段にアップする。手間暇をかけただけの成果は得られると思う。
ところがいまのコロナ禍においては、このモニター調査を依頼し難い。非接触は通販の得意技なので、自宅に配送してモニターをしていただく程度のことは、すぐにできる。しかしそれでは感想もアンケートになるし、Webでヒアリングしたとしても直接お肌を見ることができない。また湿度温度の管理のもとで計測機器類を使用しお肌のデータを取らせていただくことも無理だ。そのため十分な「モニター調査」をできないことが多い。
特にシニア世代のモニター調査は、同世代で代わりを務められる社員が身近にいないのでとても重要だが、人数も制限して、徹底した感染予防対策を講じなくてはならないので、十分なモニターの数も確保し難い。こんな状況では開発の合格点がつい甘くなってしまうのではないか、あるいはバックデータが不足気味になってしまうのではないかなど、新商品が万全の自信作と思えなくなってしまう。そのようなことは、絶対に避けたい。
このように非接触が販売現場にいろいろな不都合を起こしているように、商品開発面でも様々な苦労が出てきている。化粧品は継続使用していただくことでブランド側も、生産メーカーも利益が出る。この状況下で新発売した化粧品は来年も、再来年も使っていただく必要がある。そんな継続使用をお願いする上で不十分な商品開発プロセスの影響が出てくるのではないかと、老婆心ながら心配している。