「週刊粧業新聞」 11月8日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第69回 マスクを外す日が待ち遠しい』が掲載されました!
本文は、下記の通り。
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『激変するコスメマーケット』
第69回 マスクを外す日が待ち遠しい
コロナ禍での生活も、もうすぐ丸2年。都内の新規感染者数も2ケタ台に減少して、ようやく収束の兆しが見えてきた。今や、靴を履くのと同じくらいあたり前にマスクを着けて外出する毎日だが、マスクを外す日は確実に近づいてきている。昨年の初めに着け始めた時は、あれだけうっとうしいと思っていたのに、いざ外すとなると、マスク無しの顔をさらすのが少し怖くなってきた。
先日、美容室の大きな鏡でマスクを外した自分の顔を見た時のこと。「こんなにほうれい線が深かったかな?」「前より輪郭がゆるんでいる気がする」と、記憶の中の自分より一段と老けが目立つことにショックを受けた。マスク無しの自分の顔をじっくり見る機会が減ったからかもしれないが、明らかにコロナ禍生活の弊害を感じた。運動不足による体重増加、血行不良によるたるみ・むくみ、顔の表情筋の衰え、などなど……。
また、これだけマスク生活が長く続くと、マスク姿でしか会ってない人も多くなってきた。会社では新人の顔をなかなか覚えられない。こちらもマスクを外した時に、「思っていた印象と違うなと思われたら嫌だな」などと余計なことを考えてしまう。先日久しぶりに友人たちと集まり「記念にマスクを外して写真を撮ろう」ということになったとき、皆が一斉に口元の筋肉を動かして、笑顔作りの練習をした。友人曰く「笑顔の作り方を忘れてしまったから」とのことだ。このままだと「マスクを外すためのリハビリが必要かもしれない」と思うほどだ。
さすがにそれではまずいと思う女性たちも多いようで、「コロナ禍で変化した美容意識」など各種の調査では、スキンケアは丁寧に時間をかけて行うようになってきていることがわかる。「自宅にいることが多いので、丁寧に時間をかけてスキンケアをしている」「常にマスクをつけているため肌荒れを起こしてしまうのでしっかり保湿している」などの声が多くなってきている。ちなみにメイクは「アイメイク中心でリップは使わない」、「ファンデーションやチークはマスクに付かないことが優先」になり、当然薄化粧になっている。そのため「マスクを外した時に、シミやそばかすが目立つようになってしまった」と感じる中高年世代も多く、美白のスキンケア商品も人気だ。
またコロナ禍で売り上げが伸びた美容分野の一つが「ヘアケア」だ。コロナ禍以前からヘアケア分野拡大の兆しはあったが、在宅時間が多くなったことで、お風呂時間が確保できたこと、美容室に通う頻度が少なくなったことなどが影響してインバスのヘアケア商品も伸びている。
コロナ禍の自粛生活、巣ごもり生活は、私たちに「無理をしない自然体の生活」や「免疫力を高めるための睡眠時間」、「規則正しいきちんとした生活」が大切なことを教えてくれた。健康面でも中高年世代では、運動不足解消のために散歩をする人が多くなっている。身近なところで、手軽にできるきちんとした暮らしを取り戻すことから、新たな日常生活をスタートし始めているようだ。
コロナ禍を経て、女性たちの美容にかける時間やお金の配分、また必要なアイテムは大きく変わった。それが元に戻るには、かなり時間がかかるだろう。化粧品の売上を大きく復活させるためには、女性たちが内面の充実だけでなく、表舞台の街に戻り「キレイに見せたい」という外に向けた美容意識にも目覚めることだ。マスクを外すその日が、美容ニーズ復活の本格スタートになるだろう。