コラム
『日本流通産業新聞』9月18日号掲載2025.9.24(投稿日)
基礎講座Q&A vol.118 「対面(リアル)対応を求められた」

『日本流通産業新聞』9月18日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために
基礎講座Q&A vol.118「Q. 対面(リアル)対応を求められた」が掲載されました!

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Q. 対面(リアル)対応を求められた

肌悩みに対応した「選べる美容液」を販売しているメーカーです。コロナ禍以降、手薄だったウェブを強化してきました。しかし最近「どこで買えますか」「肌診断をしてもらえますか」などの問い合わせが多くなりました。どうやらお客さまは「対面の接客」を望まれているようです。
(中堅通販化粧品会社)

 

A.通販だけど、対面(リアル)が求められている

 

◆対面の会議が復活

当社と化粧品会社様のミーティングも一時期はほとんどがウェブ会議になりましたが、最近は対面の商談が増えてきました。

ある得意先様の幹部が久しぶりに当社を訪ねてこられた時は、画面越しではないため、気分がウキウキしました。その後、時間も忘れて雑談&長話になりましたが、帰り際に「充実した雑談だったね!」と満足感を共有しました。

なぜなら、お互いにミーティングしながら自然にメモを書き、最後には「今後の戦略マップ」が完成していたからです。このように、対面による「雑談」は、思いもよらぬ方向に発展したり、多様なアイデアが出てきたりします。直接対面による情報交換は、オンライン会議ツールを介したものと比較すると、お互いに刺激しあい、共鳴しあうかのような交流があります。その場に同席するだけで、五感で感じ取れるものがあるのかもしれません。これが人間関係の面白さなのでしょうか。

 

◆リアルのメリットは?

新規顧客獲得コストが高騰する中では、一度獲得したお客さまを大切にして、長く愛用していただき、生涯LTVを少しでも高めて通販ビジネスの得意先と当社ですら、「リアルの会議をしましょう!」となるので、リアル会議のメリットを挙げてみました。

 

リアル会議の【メリット】

・表情や目の動きがウェブ画面よりも鮮明に読み取れるので反応がわかる
・同席による一体感が生まれ”話が弾み”雑談ができる
・リラックスした雑談の中から意外性のあるアイデアが生まれることもある
 これらの理由から、企画立案目的のミーティングの手法として、対面でのミーティングは有効だと考えられます。

逆に【デメリット】は、
・移動時間やスペースが必要になるため無駄が多い
・テーマから逸脱した話にも発展することがあり、これも無駄になる
・具体的な打ち合わせであれば、ウェブでも対面でも大きな差はない
 つまり「具体的な打ち合わせに限って言えば、ウェブ会議の効率の良さは捨てがたい」という結論です。

 

◆通販でもリアルが良い?

通販では”通常”お客さまと、通信手段(ウェブ、電話、TV等)でやり取りをしているにも関わらず、自分たちの会議は対面が良いと結論付けるのは違和感があったので、もう少し深く考えてみました。

実はBtoCのお客さまとのやり取りにも、同様のニーズがあります。特に化粧品通販の分野では、情報伝達のメディアによって、対応が大きく変化します。

例えば多くのお客さまへ簡単な情報伝達をスピーディーに行うにはウェブの効率性はすごく役立ちます。

一方でより深いコミュニケーション、例えば肌状態を確認する場合は、対面でのやり取りが便利になります。
お客さま育成の立場から言えば、初期段階のお客さまとのやり取りはウェブや紙媒体、電話フォローだけでも良いでしょう。しかしロイヤル層を育成して、クロスセルを促し、客単価(LTV)を上げるためには、対面のようなパーソナルなアドバイスも不可欠になってくると思います。

 

 

◆両方できることが良い

つまり、手軽な通販と、肌診断やアドバイスも受けられる店舗の「どちらも選べるのが良い」ということです。
調査会社のアーガス・リサーチによれば、店舗とECを併用すると、消費額は2・5~3・0倍になるという分析結果が出ています。

実際に当社の得意先でも、最初に店頭で接客を受けた、通販のお客さまは、メディアを通じて通販を利用し始めたお客さまよりもLTVが高くなる傾向があります。特に単価が高い商品の場合にはその傾向が顕著です。

よく考えると、昔から富裕層のお客さまは、外商スタッフが商品を届けるなど、店頭販売と通販を合わせたようなお届けシステムを利用していました。どちらで購入するかはお客さまのご都合。企業側はその両方に対応できる仕組みにしておかなければならないようです。

通販会社の場合は、例えば店舗を持なくても、対面の接客をしのぐようなサービスが提供できれば大歓迎されることでしょう。最近ではウェブでの肌診断も充実してきています。お客さまとの対話型ウェブ交流も盛んになりました。それらを駆使して、お客さま一人一人のニーズに対応していきたいものです。

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