コラム
「無難」と「独りよがり」の間2011.2.1(投稿日)

 最近では、映画だけでなく外国のドラマやバラエティ番組まで気軽にDVDで見られるようになり、休日はほぼインドア派である私としては、楽しみの幅が増えてありがたい限りです!

 

私の目下のお気に入りは、アメリカのリアリティ番組「プロジェクト・ランウェイ」。これは、無名のファッションデザイナーを十数人選出し、テーマに沿った洋服を制限時間内で作らせ、審査方式でどんどん落としていき、最終的に勝ち残ったデザイナーには賞金とブランド立ち上げ支援を行うという内容。

 

 

この番組の何が面白いかというと、とんでもなくアクが強いデザイナーたちが繰り広げる人間模様、ピーコもびっくりの辛口審査員達のコメント、スーパーバイザーであるティム・ガンの魅力など、挙げればキリがありません!そういった登場キャラクターの濃さに加えて、この番組が私の心を引きつけているのは、「リクエストに応えてモノをつくる」ことの難しさを余すところなく伝えている点。彼らが勝ち残るためには、縫製の技術だけでなく個性的なセンスが必須なのですが、「自分の作りたいもの」を主張し過ぎると、与えられたテーマから逸脱してしまう場合も。どんなに独創的で美しい服を仕上げても、それがテーマに合っていなければ失格になってしまうのです。

 

 

弊社の仕事もこれに似ているところがあります。クライアントの要望や意見をただ反映しただけの広告では「無難」「つまらない」と評価されてしまう。でも、クライアントの要望を二の次にしてこちらのアイデアを優先するだけでは、単なる独りよがりになってしまう…。日々このジレンマに悩まされている身としては、「プロジェクト・ランウェイ」に登場する自己主張の塊みたいなデザイナー達が、審査員に鼻っ柱をへし折られたり、なにくそと頑張って素晴らしい作品を生み出していったりする過程を見ていると、何だか励まされるような気持になるのです。                     (K. O

 

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