コラム
社員コラム2019.2.27(投稿日)
生活習慣の変化を受けて変わる「売りのポイント」

 

ちょっと前の話になりますが、昨年末、とあるキッチングッズのお店を覗いたときのことです。
「お鍋であったか団らん♪」というPOPが目に止まりました。店内の一番目立つところに小さなこたつが設置され、大小さまざまのかわいい土鍋がディスプレイされていました。寒い季節といえば鍋。オレンジやピンクの暖色系POPが、気分を盛り上げてくれます。こたつを使ったディスプレイとはなかなかやるな・・・などと思ってしげしげと眺めていたところ、ちょっと引っかかる部分がありました。
気になったのは、もう一つのPOPに書かれた謳い文句。
「直火でも使えます!」
最初、その言葉の意味が理解できませんでした。土鍋とは直火で使うものでは・・・?直火で「も」使えるということは、直火でない使い方とはなんなのか。蓋に貼られた小さなシールに答えがありました。「IH土鍋」。

築ウン十年の古い家に住んでいる私はあまり意識していなかったのですが、今のキッチンはIHコンロが主流なんですね。鍋といえば普通は直火にかけるもので、「IHでも使える」という特長は、特に先進的(?)なキッチンを使う方々への売りポイントになるものだと思っていました。ところが、ここでは「普通の土鍋はIH用ですよね。でも、これは直火で使いたいという人にも対応していますよ。」というスタンスになっている。私は旧時代のキッチンを使う少数派になってしまったのか(考えすぎ?)。

本当のところを確かめたくて、友人や同僚、上司などに、自宅のコンロについて聞いてみました。すると、およそ半数がガスコンロを使用していました。「直火でも~」のコピーに対しても、戸惑いを感じるという意見も多く、決して私だけがズレているわけではなさそうです。

業界の常識が、世間の常識であるとは限りません。ちょっとしたPOPひとつでも、私のように悩んだり考え込んだり、誤解したまま買い物をして、クレームにつながる可能性もあります。ライフスタイルも商品知識も千差万別の人たちに、等しくわかりやすく、誤解を産まない表現を考えなければならない。広告づくりは本当に責任の重い仕事だと、改めて痛感しました。同時に、意外なところに見落としがあったなあ、と反省しきりです。女性のライフスタイルに関わることには、目を凝らしていたつもりだったんですが…。 

(N・A)

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