コラム
「日本流通産業新聞」3月12日号掲載2020.3.12(投稿日)
基礎講座Q&A vol.62 「Q.お客さまサービスの見直しを検討したいが」

「日本流通産業新聞」 3月12日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.62 「Q.お客さまサービスの見直しを検討したいが」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

 

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Q.お客さまサービスの見直しを検討したいが

現在、お客さまサービスの見直しを検討しており、よりわが社らしいサービスを導入したいと考えています。通販化粧品業界における新しいお客さまサービスの傾向や考え方などをアドバイスください。(中堅の通販化粧品会社)

 

A.サービスのパーソナライズ化を目指したい

◆広がる肌分析

 お客さまサービスの基本は、快適で安定したサポートにありますが、最近はそれに加えて、一人一人のお客さまに最適化されたサービスを提供する「パーソナライズ化」が注目を集めています。「あなただけに」という特別感のあるパーソナライズ化は、商品開発も含めて注目されており、最近の化粧品業界では欠かせないものになっています。お客さまサービスも同様の傾向が強くなっているように感じます。
 中でも、近年急速な広がりをみせているのが、肌分析とカウンセリングの充実です。
 ネットや店舗に、数えきれないほど化粧品があふれる時代だからこそ、「自分の肌や髪に合った化粧品を見つけたい」というお客さまは増えているようです。
 客観的に肌や髪の状態を把握できる肌分析サービスやカウンセリングが、これまで以上に求められているのではないかと思います。
 実際、大手化粧品会社は、最新のテクノロジーを搭載した測定器による肌分析サービスやカウンセリングを競うように導入しています。さらに今年は本格的な肌診断を遠隔で簡単に受けることができるサービスも始まるようです。スマホで撮った写真からAI肌診断を行うサービスで、撮影した顔写真を1万件の臨床データと照合し、数秒で肌状態を分析できるというものです。すでに海外では好評を博しているようで、日本でのサービス提供にも期待が高まっています。
 また、自社独自で肌分析が難しい通販化粧品会社に向けて、肌分析のキットを提供する会社も登場しています。協力会社を得ることができれば、より手軽に肌分析サービスを提供できるのではないでしょうか。

◆SNSで御用聞き

 もう一つの傾向は、SNSなどを活用したパーソナライズ化です。LINE公式アカウントやメールマガジンを一斉配信せずに、会員属性や購入履歴に応じて最適化することで、「自分だけのため」と思わせることができます。
 例えば、購入履歴からタイミングを見計らい、「化粧水がそろそろなくなるころではありませんか?」とメッセージを送信し、ワンクリックで注文できるようにすれば、必要な人には便利であり、不要な人はスルーできます。
 購入しなかったお客さまの中には、「まだ残っているから」と購入を見合わせている場合もあります。そこで「残量がこのラインになったら、ご注文ください」とイラストで案内し、購入のタイミングを提示すれば、より親切ではないでしょうか。
 これはいわば現代版「御用聞き」です。得意先を定期的に巡回して、注文や要望を受ける御用聞きは、昭和の時代まで地元の商店では日常的に行われていましたが、現代ではSNSでスマートにできるのではないでしょうか。
 SNS上のコミュニケーションは、自然な対話ができるようAI任せでなく、定形外のコメントにはコミュニケーターが対応するなどの工夫があると良いでしょう。

◆店頭販売の意識で

 他にも「ロイヤルのお客さまには新製品・キャンペーン情報を先行してお届けする」「購入履歴によって、キャンペーン商品を変える」「肌悩みに応じて同梱サンプルを選ぶ」など、顧客データを活用したパーソナライズ化もあります。
 サービスのパーソナライズ化を取り入れるのであれば、「その人のためだけ」ということに価値があるので、細かすぎるマニュアルに縛られないような配慮も必要かもしれません。
 一定のルールのもとに、全社員が店頭に立って接客している意識を持ち、一人一人のお客さまに臨機応変に対応をしてこそ、真のパーソナライズ化と言えるのではないでしょうか。

 

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