コラム
「日本流通産業新聞」10月15日号掲載2020.10.15(投稿日)
基礎講座Q&A vol.66 「Q.コロナ禍で売り上げは伸びません。」

「日本流通産業新聞」 10月15日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.66 「Q.コロナ禍で売り上げは伸びません。」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.コロナ禍で売り上げは伸びません。

コロナ禍の中、他社の化粧品売り上げは伸びているのに、わが社は落ち込んでいます。コロナ禍でも、既存の通販化粧品会社はチャンスと捉えてさまざまな施策を打ち出したり、店頭販売の会社はEC・通販に乗り出したりと、営業活動が活発化してきました。しかし、わが社ではなかなか売り上げが伸びません。(中堅の通販化粧品会社)

A.コロナ禍を機に自社ビジネスの棚卸を

◆落ち込みはコロナのせいだけか

 今回のコロナ禍の打撃ですが、まず4~6月までの店頭販売の自粛期間中は、本当にすべてが止まってしまったような状況だったと思います。しかし9月に入って店頭販売が軌道に乗り始めたころから、徐々に売り上げも回復してきたようです。そんな中で御社の回復が遅れているようであれば、それはコロナ禍の打撃だけではなく、もともと現在のお客さまのニーズと合わなくなってきた仕組みにメスを入れる前に、コロナ禍に突入してしまったためではありませんか?
 化粧品だけでなく他商材の通信販売でも見られることですが、そもそもの問題点をそのままにしておいたところに、今回の打撃を受けた会社は、より大きな傷を負っているように感じます。
 いつも問題点を探して早めに対応している会社、いわばチャレンジ精神の旺盛な会社は立ち直りも早く、傷も浅いような気がします。

◆コロナ禍がなかったとしても

 通販化粧品でいえば、一昨年あたりから新規顧客獲得は全く効率が悪く、CPOもCPRもとても高騰しており、通常のビジネスの仕組みでは、投資金額を何年かかっても回収できないような構造になっていました。それを知りつつ旧来型の通販の広告展開で運営してきた会社も多いと思います。
 本来であればきちんとブランドの訴求ポイントを整頓して、値引きではない方法で、ニーズのあるお客さまに正しい情報を届ける、いわばブランディングとマルチメディア戦略の両方が必要なのに、その手を打ってこなかったこと。
 あるいは、他社との差別化が明確でない「安易な商品開発」を続けてきたこと。お手入れ方法についても「独自の美容メソッド」の提案ができないため、使用後のお客さまの実感や共感を引き出すことができていないこと。化粧品という「もの」は売っていても、「お手入れのアドバイスなどが充実していない」こと。
 数え上げればきりがありませんが、いずれも「化粧品を売る」ビジネスには不可欠な体制を整えていないということです。そのような状況では、もしコロナ禍がなかったとしても、いずれ売り上げが頭打ちになってビジネスは厳しくなっていったことでしょう。

◆お客に何を届ける会社なのか

 コロナ禍の中でも売り上げを落とさず、むしろ対前年比で伸ばし続けている会社は、先に挙げた課題を日々解決するためのチャレンジを続けてきた会社であり、それを応援する固定のファン層を多く抱えている会社です。その根底にあるのは、本来、自分の会社は「お客さまに何を届ける会社なのか」という商売の基本を全社員が、全力で共感しているかということだと思います。
 それが単なるテクニック論で「何割値引くと、どれだけのレスポンス率が見込めるか」などのピンポイントのデータばかりで考えるようになると、いつしかお客さま不在のビジネスになっていたはずです。
 そのような状況では、コロナ禍がなかったとしても、いずれは衰退するビジネスになっていたかもしれません。
 売れないこと、お客さまが離れてしまっていること、なんでも「コロナ禍」のせいにしないで、お客さまの今の声に耳を傾け、何をどのように提供すれば、受け入れてもらえるのか。
 もう一度「お客さまのニーズとベネフィットに応える」ことを念頭に、自分自身のビジネスモデルの棚卸をしてみると良いと思います。
 おそらく平常時には、何となく分かっていて、「手を打たなくては……」と思っていたことが全く改善されておらず、そのまま「見なかったこと」や「先送りにしていたこと」がたくさんあると思います。
 早く売り上げを回復してほしいですが、ここで思いっきり振り返り作業をして、ビジネスに磨きをかけることが、御社の将来にとっては最も有効なことであると思います。

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