コラム
「日本流通産業新聞」1月21日号掲載2021.1.27(投稿日)
基礎講座Q&A vol.68 「Q.アフターコロナ見込んだ対策とは」

「日本流通産業新聞」 1月21日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.68 「Q.アフターコロナ見込んだ対策とは」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

 

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Q.アフターコロナ見込んだ対策とは

今、店頭販売と比較すると通販は各社とも大きく売り上げを伸ばしているようですが、化粧品通販である当社はあまり伸びていません。マスク生活でメーク商品が全く伸びていないことが響いています。新規顧客獲得も動いていません。今、何をしておくべきでしょうか。(中堅の通販化粧品会社)

 

A.今は通販でできることを広げておきたい

◆新規顧客獲得が不振

 日本通信販売協会の売り上げデータを見ても、食品と生活雑貨の売り上げは前年よりも大きく伸びていますが、化粧品や衣料品の伸び率はそれほどではありません。ステイホームの時期が長くなっていますので、食材や家具などのニーズが高まるのは当然と言えます。しかし、化粧品や衣料品はアイテムによって売り上げの格差が激しく変動しています。
 新規顧客獲得にかかるコストが高くなっている割に、人数を獲得できないので、投資金額を回収するためには、長い期間が必要になっています。その半面、競合が激しくなっており、初回割引のサービス競争が響き、離脱するお客さまも多く、LTVは低くなる一方と言えます。
 新規顧客獲得がなかなかうまくいかなくなった理由は、あまりに新規参入企業が多くなり競合が激化したこと、もう一方ではECが通販のメインメディアになったため、ECの新規顧客獲得の価格が上がったことなどが挙げられます。
 ECの初期の段階から新規顧客獲得に取り組んできた企業と比較して、メリットが少なくなってきていると言えるでしょう。コロナ禍の下でその影響は大きくなっていると思います。いわばビジネスモデルをもう一度見直す時期に来ているのかもしれません。
 通販化粧品はまず新規顧客獲得が成功しないと、採算が取れる規模まで到達しません。しかし新規顧客獲得のみに傾注し過ぎると、獲得したお客さまが、安定的に継続購入してくれる時代はすでに終了してしまっているので、収益の悪いビジネスになってしまいます。要は、ビジネスの基本に立ち戻って、バランスの良い運営をしていかなければなりません。

◆お客さまをファンに

 新規顧客獲得がうまくいかないのであれば、既存のお客さまのLTVを上げる以外に方法はありません。そのためには、お客さまに購入メリットや使い続けることのベネフィットをきちんと訴求できる「コンセプト」を明確に打ち出していくべきです。
 その商品の存在理由を明確にすることで、他社とは差別化された唯一無二のポイントを打ち出し、お客さまが実際に使用してその価値を認め、コンセプト通りの効果を実感し価値を認めてくれたら、「不要不急の商品」ではなく、そのお客さまにとっては、「必要欠くべからざる商品」になると思います。
 多くのお客さまでなくても、ファンとか、熱心な信奉者、エバンジェリストのようなものと考えても良いでしょう。

◆熱量を高めて成功へ

 要はファンとしての熱量がどれだけあるかということです。
 そして今は、そのような中心顧客、核となるお客さまを一人でも多く育成しておくべきでしょう。そんな方々にマイブランドとして、他の商品には代えられないブランド価値を発信できれば求心力は高まると思います。
 ファンになってもらうべき価値を生み出すためには、商品開発だけではなく感動を与えるようなサービス、気分を上げるアート的表現なども必要でしょう。商品のポジショニングやコンセプトを明確にすることで、より明確なメッセージが表現できるようになります。
 また、コンセプトが明確になることで、業務に関わるスタッフの目標が一つになり、さまざまな業務にも磨きがかかることでしょう。それはどんなビジネスでも同じことです。関わるスタッフの熱量が成功をもたらすのです。
 思わぬ感動や、熱い気持ちを伝えることによってお客さまに「想い」が伝わり、心の底から、「私の好きな商品」だと感じてもらえるようになります。そして本当にお客さまのお役に立ち、感謝されるブランドになれば「不要不急商品」から脱出できます。
 コロナ禍の下でもやるべきことはたくさんあります。アフターコロナを見据えて、将来のブランド価値を高める活動をしておくことが、今最もやっておくべきことだと思います。

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