コラム
社員コラム2021.2.16(投稿日)
誤解していた「ブランディング」の本質

 

日々仕事をしていると、様々な場面で接する「ブランディング」。
お客様に商品やサービスの魅力を伝え、他社にはない価値を見出してもらう
ためにはブランディングが欠かせないことは充分理解しています。
しかし、ブランディング作業を実施するにはお金も時間もかかるし、
直面している目先の課題に対して本当に効果的なの…?と、
広告に携わる私自身、感じることもありました。
そんな「ブランディング」に抱いていた疑念が晴れたのは、
ある取引先企業様の施策を担当したときでした。

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目次

■伸び悩むLTV
■理想と現実のギャップに驚愕!?
■小さなブランディング

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【1】伸び悩むLTV

オールインワンゲルを看板商品とするA社は、
酷い肌荒れを経験した創業者が、「すべての敏感肌の人を救いたい」
という一心で開発したブランドです。
そんなA社の課題は、
初回購入からの継続率と注文単価の低さにありました。
私たちはまず、RFM分析による現状把握から、3つの仮説を立てました。

➀商品の価値ではなく、価格の安さで選ばれているのではないか?
②既存顧客の正しいリピート育成ができていないのではないか?
③つまり、本当の意味でのロイヤル顧客はいないのではないか?

そして、この仮説の検証をするためにRFM分析に基づいたお客様ごとに、
グループインタビューを実施したのです。

【2】理想と現実のギャップに驚愕!?

実際のお客様にお話しを伺うと、たった1度の購入だけで離脱してしまった
お客様は、A社がターゲットとする肌悩みの方が多かったのに対し、
都度購入してくれるお客様たちは、価格重視でいろいろなメーカーの商品を
渡り歩くジプシー層だったのです。
「確かな商品で、敏感肌の人を救いたい」という思い描いていた理想とは、
かけ離れたビジネス構造になってしまっていたことに、
A社の方々は大きな衝撃を受けていました。
なぜ、理想と現実にギャップが生まれたのか―。

私たちは、「販促」と「ブランディング」のバランスが悪いことに
原因があると考えました。

A社は、新規顧客を獲得するため、割引の販促施策には積極的だった一方で、

WEB広告や同梱ツールなど顧客接点となるポイントで

「どんなお客様に」「どうなってほしいか」というブランドとしての
メッセージをあまり発信していませんでした。
その結果、お客様の中にブランドに対する信頼や親愛が芽生えず、
ロイヤル顧客はおろか、リピート顧客が育たないという
負の連鎖に陥ってしまっていたのです。

【3】小さなブランディング

そこで、私たちは真っ先に改善すべきこととして
初回同梱ツールの見直しから提案しました。
ブランドの考え方からズレ始めた方向性を軌道修正するために、
これまで伝えてこなかった開発ストーリーやメッセージを盛り込んだ
ブランドブックと、敏感肌の方のためのお手入れ方法、早い段階で肌悩みに
応じたセット定期商品や、クロスセルに繋げるためのチラシを制作し、
初回購入のお客様へのアプローチ方法を変えました。
どんなに価格が安く良質な商品だったとしても、
それだけではリピート顧客の育成には繋がりません。
ブランドとして「こうありたい」「こう思われたい」という
コンセプトや考え方を定め、そこに導くためのメッセージや施策に、
ブレない一貫性をもたせることがブランディング。
そう考えると、A社が他社にはない強みを最初の顧客接点となる
商品同梱ツールに備えたことも、小さなブランディングのひとつだったと
いえます。
なんとなく“大掛かりなこと”と考えていた私の「ブランディング」に対する
固定観念を取り払い、企業の規模や課題に適した、
効率的な戦略を選ぶことの大切さを気づかせてくれた事例です。

 

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