「日本流通産業新聞」 10月6日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.85 「Q.トライアルセット改良のポイントは?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。
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Q.主力ラインアップ商品について、初回のトライアルセットから本商品への引き上げがなかなか成功しません。定期購入につなげるための改善策を求められていますが、予算の制約もある中で、最も重視すべきことは何でしょうか。(中堅通販化粧品会社のCRM担当者)
A.ストレスなくし、「初対面」の印象高める
◆人間で言えば「第一印象」
ご質問を受けて、弊社で取り寄せている各社の「トライアルセット」を再度チェックしました。ご存じのように「トライアルセット」は通販化粧品会社が初めてお客さまに試用していただくサンプルで、人間関係で言えば「初対面の場」。ここでの第一印象はとても重要です。
プレゼンテーションとしてきちんと自己紹介ができているか、使い方や使用目的なども分かりやすく伝えているか、快適さを感じられるか、お客さまのご意見もうかがう双方向のコミュニケーションが可能か、などなど心地よい初対面の場になっているかが問われています。
◆お届けの現場では何が
そこで多くの通販化粧品会社からトライアルセットを取り寄せている弊社だからこそ分かる事例をご紹介します。
通信販売商品をお客さまがうれしい気持ちで受け取れるかどうかは、宅配会社のサービスに委ねられています。
「お届け」では、かつてお客さまに集まっていただいたグループインタビューで、「配送会社や地域によってサービスの格差が大きい」ということが話題になり、炎上してしまいました。最終的には、「配送会社を選べるようにしてほしい」という要望が多く出ました。
配送現場の業務の過酷さは報道で周知されているはずですが、自分の荷物がスムーズに届かないことはお客さまにとってストレスの要因になります。
私の経験では、指定した時間に届かずに受け取れなかったことが、何度かあります。通販会社と配送会社のコミュニケーションミスや、ラベルの貼り忘れなどが原因でした。
また、届いたトライアルセットの箱が、傷がついていたり、一部が破れていたりすると、手に取った瞬間に残念な気持ちになります。
箱や包装そのものでもストレスを感じることがあります。やたら豪華な包装で多くのごみを捨てなくてはならないものや、どこから開けてよいか分からない梱包は問題です。「思いがけず爪を傷つけてしまった」とか、「カッターを使わなければ開けることができない構造」は、できれば避けてほしいです。
◆小さなストレスの要因
サンプルはボトルやチューブ、ジャー型のほか、パウチの場合もありますが、いずれも小さいため、ふたが開けにくい、封が切りにくい、あるいは穴が小さくて粘度のある液体が出にくいといった小さなストレスの要因がたくさんあります。
私の最近の経験では、ミニボトルを台紙から外しにくかった例や、すぐに倒れてしまい内容物をこぼしてしまった例もあります。パウチは濡れている手では封を切りにくく、2回分入っている場合は、2回目の使用まで、どう保管すればいいのか分からず、誤って家族が捨ててしまう心配もあります。
また、本商品とトライアルセットのデザインがあまりに異なるために、本商品の何に当たるのか不明なケースもありました。
◆同梱ツール数は平均6・3
一番困るのは、それぞれの商品の使用方法の解説が分かりやすく記載されていない場合です。
手のひらに内容物を取ってしまった後で、同梱物の解説書を探すのは四苦八苦するので、水に濡れてもよい説明書などを同梱してくれるとありがたいです。
同梱物の冊子やチラシ類は多すぎる会社と少なすぎる会社によって極端に差があります。弊社で代表的な通販化粧品会社50社ほどのトライアルセットに同梱されているツール数を調べたところ、最も多い会社で15ツール、最も少ない会社で3ツールでした。
ボリュームはともかくツール数としては平均6・3ツール程度が同梱されていました。
ほとんどの会社の同梱物は、購入を感謝するごあいさつ、ブランドの考え方を記載したブランドブック、ラインアップを紹介する商品カタログ、使用方法の解説書、他のお客さまのコメント集、キャンペーン案内、伝票などです。2ツールがまとまっている場合もあります。これらのツールは、どこに何が記載されているかが分かりやすい構成になっている場合は、ストレスなく目を通すことができます。
通販化粧品の「初対面の場」であるトライアルセットですら、お客さまにストレスを感じさせるようでは、次の本商品を買っていただくことは難しいかもしれません。まずはもう一度お客さま目線で、自社のトライアルセットをご自身で使ってみてはいかがでしょうか。