コラム
「日本流通産業新聞」1月12日号掲載2023.1.12(投稿日)
基礎講座Q&A vol.88 「Q.社内の近似商品でお客さまが迷ってしまう」

「日本流通産業新聞」 1月12日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.88 「Q.社内の近似商品でお客さまが迷ってしまう」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.社内の近似商品でお客さまが迷ってしまう
 当社には成分や処方は多少違いますが、同じような製品がいくつかあります。ターゲットが近く、どちらも試して迷ってしまうお客さまがいるようです。また販促施策も差を付け難くなっています。(中堅通販化粧品会社)

A.お客目線で製品を棚卸し「迷い」回避

◆対象に合わせた適切な媒体に
 どれだけ多くの新規顧客を獲得しても、リピート購入してくださる方はほんの一握り。そんなお客さまの離脱をカバーするために、ついラインアップを多くしがちですが、お客さまを迷わせてしまうのでは本末転倒です。
 そもそも製品開発の段階で、効能・機能・処方だけでなく、「どんなお客さまに届けたいか」を定めなければなりません。ペルソナを設定し、どんな生活をしているのか、どんな趣味嗜好で、どんな価値観を持っているかなどを徹底調査します。そこからターゲット層がどんな悩みを持ち、どんな化粧品を求めているか、どんな価格帯であれば購入するのかを絞り込みブランドのコンセプトを決める必要があります。
 また、コミュニケーションも媒体やクリエーティブ表現を含めて、開発段階から決めておくべきでしょう。
 例えば、新聞広告やテレビのインフォマーシャルで化粧品を購入してくれるお客さまは、ほとんどが70代。40代向けの化粧品を同じように新聞出稿しても見てもらうチャンスはありません。
 つまり、製品のターゲットに合わせたコミュニケーションは内容や表現だけでなく、適切な媒体でなければ、継続してくれるお客さまを獲得することはできません。

◆目的別で機能分けをしたい

 しかし、今回のご質問のようにすでに製品が出来上がっている場合は、コンセプトを修正する前に「社内の製品特長の整理」をすることが良いでしょう。
 まず目的を明確にした製品の機能分けができているかということを整理しましょう。
 多くの化粧品会社はベーシックラインとして、代表的な基本のシリーズを作っています。
 それと似たような機能を持った同じ価格帯のスキンケアラインを多くしても、ただお客さまを迷わせて、買い控えを招いてしまうだけです。
 機能区分の大きな目安として、まず挙げられるのは「肌質の区分」です。同じ年齢の女性でも、肌は人それぞれに違い、「私は乾燥肌だから、もっと保湿したい」「年を重ねた肌のためエイジングケアに特化したものを」「私は敏感肌なので安心安全が最優先」など、さまざまなニーズがあります。そんなお客さまの願いに応えられる製品はどれか。まずはその視点でラインアップの機能区分を明確にし、リニューアル時期に特徴を明確に打ち出していくことが必要でしょう。
 「肌悩み」も機能区分のひとつ。シワ・たるみ・くすみ・毛穴・ニキビ……それぞれの肌悩みを解決したいというお客さまのニーズに応えられる製品はどれか、という視点で考えましょう。肌悩みに応じた専用のラインアップをそろえている通販化粧品会社もありますが、中には基本のラインアップに取り入れられる部分用美容液やプラスワンアイテム、専用クリームのようにスペシャルケアとして対応している会社も多いようです。
 これら二つの機能区分の指標を組み合わせて、役割分担を明確にし、製品整理をしていくことでお客さまも徐々に迷わなくなるでしょう。

◆お客さまの悩みに寄り添う

 そもそもこの機能区分の指標は、お客さまが化粧品を選ぶときの基準です。お客さまは過去の経験や体験から、自分の「肌質」と「肌悩み」を良く知っています。「すぐに乾燥してガサガサになる肌だ」とか、「合わない成分が入っているとピリピリして赤くなる」とか、「若いときとは全く異なった肌になった」というような実感体験を持っているため、自分の肌状態に合わせた製品を選んでいるのです。
 そんなお客さまの悩みに寄り添い、課題解決目線で製品開発や適切な情報発信、製品訴求をしていかなければなりません。
 製品の機能区分がしっかりと明確に差が付いていれば、お客さまが「合わない」と感じられたときも、丁寧なヒアリングやカウンセリングで、正しい使い方の指導やほかの製品への誘導もできます。少なくともお客さまを迷わせるという状況は避けられるはずです。

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