コラム
「日本流通産業新聞」3月2日号掲載2023.3.2(投稿日)
基礎講座Q&A vol.89 「Q.化粧品の定期施策で必要なことは?」

「日本流通産業新聞」 3月2日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.89 「Q.化粧品の定期施策で必要なことは?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.化粧品の定期施策で必要なことは?
定期販売をしていない商品について、お客さまから「定期的に届けてほしい」との要望がありました。当社はサプリメントも扱っており定期制度を設けていますが、化粧品はまだ対象外です。今後はどのような制度にすべきか悩んでいます。 

A.顧客を離脱させない仕組み作りを

◆お得だけでは続かない
 最近、多くの化粧品通販会社が定期購入を訴求しています。その理由はやはり定期購入の方がLTVが高くなるからです。そのため割引率を高くしたり、多くのプレゼントをつけたりと定期に対するハードルを下げた施策を実施する会社がとても多くなっています。おかげで「通販の定期購入=お得に買える」のイメージが定着してしまいました。
 そもそも定期制度は、「お気に入りの商品を使い続けたい」というお客さまのニーズに応えるもの。「お得」を前面に押し出した施策では、価格の安さや割引に飛びつくお客さまばかりが集まってしまい、商品の価値に気付く前に離脱されてしまいます。
 そして残るのは「解約が面倒だから」と惰性で使い続けるお客さまばかり。これでは本来あるべき定期購入の制度からかけ離れてしまいます。
 実際にお客さまにインタビューをしてみると、「定期購入は嫌い」とおっしゃるお客さまが一定数いらっしゃいます。理由は「縛られる感じが嫌」だったり、「商品が届くのが当たり前になると、選んだ熱が冷めてしまうから」というお客さまも。会社側も定期購入のお客さまは「買ってくれるのが当たり前」という意識になってコミュニケーションが疎遠になる傾向があります。
 つど買いの「自ら選んで、わざわざ注文の工程を経る」という行為が、お客さまの自主性を発揮させることになることも認識しておく必要があります。
 商品が届くのが当たり前になり、やがて気持ちが離れてしまう。そうならないために、定期購入のお客さまこそフォローが大切です。

◆定期に向いている商品とは

 また、商品によっては定期制度が向かないものもあります。定期制度の対象商品にすべきかどうか迷っている場合は、次の二つの条件を満たすかどうかを考えてみてください。
 一つ目は、使う頻度が人によってあまり差がないこと。洗顔料や基礎化粧品、シャンプー&トリートメントのように毎日使うものは、使用量も一定で定期的に購入する必要があるため、自動的に自宅に届くことがお客さまのメリットになります。
 しかし、スペシャルケア商品は毎日使う方もいれば、気になる時にしか使わない方もいます。お客さまによって余ってしまったり、欲しいときに足りなくなったりするため、定期購入には向きません。
 二つ目は、定期お届けのサイクルと商品を使い終わるタイミングが一致すること。1日の摂取目安量が決まっているサプリメントなどは、正しく飲み続ければお届けするタイミングでちょうどなくなるように設計されています。
 もし2カ月でなくなることが想定される商品が毎月一つずつ届いたら、お客さまのもとには、どんどんストックがたまってしまい、せっかく商品に満足していても、それがストレスとなり、解約してしまうお客さまも出ることでしょう。各社とも解約理由の一番は「商品が残っている」がダントツです。
 商品開発の際には、1カ月分、2カ月分と区切りが分かりやすい容量にしたいものです。

◆リピートしたくなる施策を

 定期制度を設けなくとも、お客さまがリピートしたくなる仕組みを構築すれば、結果的に定期で商品をお届けすることができます。
 あるシニア向けの化粧品会社は定期購入ができません。その代わりにポイント制度によって基礎化粧品を購入するとお客さまにポイントが付与されます。ためたポイントは非売品のスペシャルケアアイテムなどと交換できるため、お気に入りの基礎化粧品を続けるだけで、特別なアイテムを手に入れることができるのです。お客さまの満足度も高まり、商品だけでなくブランドのファンも増やせる仕組みだと思います。
 定期制度を設けるにしても設けないとしても、継続してくださるお客さまへのフォロー施策には会社独自の方針を設定しておくことが必須でしょう。安易な割引セールは、お客さまに気に入っていただいている商品の価値を下げることになります。定期購入かつど買いかにかかわらず、続けることにメリットを感じ、さらにブランドへの理解や愛着がより深まるような施策を、お客さま目線で考えることが大切です。 

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