コラム
「週刊粧業新聞」10月23日号掲載2023.10.23(投稿日)
第89回「お客様が美容のプロになる日!」

「週刊粧業新聞」 10月23日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第89回 お客様が美容のプロになる日!』が掲載されました!

本文は、下記の通り。

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『激変するコスメマーケット』
第89回 お客様が美容のプロになる日!

 最近グループインタビューでお会いする50~60歳代のお客様を見ていると、数年前の同世代より若々しくきれいな人が多くなったような気がする。細かくデータを取ったわけではないが、様々なメーカーのお客様を見ているとそう感じる。またこの世代の女性たちは、仕事やボランティア、介護なども含めて何かしらの社会活動を継続している人が多くなったようだ。そのため身ぎれいにする必要があり、様々な社会の出来事に対しても無関心ではいられないことが、若々しさを保っている要因かもしれない。
 美容に関しても知識欲が旺盛になり、特にアンチエイジングに対する関心が高くなっている。先日のあるグループインタビューでは、美容意識が高いお客様に集まってもらった訳ではないにも関わらず、美容成分に対する知識の豊富さに驚かされた。
 例えば5~6年前に行った同じようなグループインタビューでは、知っている美容成分の名称を挙げてもらうと、「①コラーゲン、②セラミド、③ヒアルロン酸、④プラセンタ、⑤ビタミンC」くらいで、広告制作者としては「5大成分をアピールすればよい!」程度に考えていた。ところが最近のお客様は、レチノール、アスタキサンチン、アルブチン、フラーレン、ナイアシンアミド、ヒト幹細胞培養液など、一昔前ならば業界人しか知らないような成分名まで知っているようで、ヒアリングしているこちらもビックリするほどだ。これは化粧品に「成分重視時代が到来」したと言ってもよいのではないか。
 なぜこのように一般消費者が化粧品の成分に詳しくなったか、その理由はコロナ禍によるマスク生活と外出自粛を強いられたことと無関係ではないようだ。
 マスクによる肌荒れに悩む人が増加し、スキンケアニーズは高まったが店舗の閉鎖によって通販利用者が増えた。しかし試すことができないので、「自分の肌に合うかどうか」「本当に肌に良い成分とは何か」などを調べてから購入するようになった。そのため成分の知識も豊富になって、同時にWeb検索のリテラシーも高まったため、50~60歳代まで成分を確かめるのが当たり前になったのではないかと考えられる。
 加えて2017年に市場導入された「シワ改善」化粧品が一気に成分名を周知する契機となり、ポーラのニールワン、資生堂の純粋レチノールが話題となった。2018年には花王・コーセーも続き、普及型成分である「ナイアシンアミド」配合の「シワ改善」化粧品を導入すると、多くのメーカーが「ナイアシンアミド」配合商品を一気に導入することになり、広告にも成分名を大きく表記するようになった。
 そんな条件が重なって、一般消費者も化粧品の成分名に詳しくなっていったようだ。化粧品はもはや雰囲気やエモーションなどで売るモノではなく、確実に肌に良い美容成分が入っていて、「何に効くか」が問われる商品になりつつある。
 そうなると次に求められるのは、薬機法に抵触せずに「納得できるエビデンスの開示」や「私の肌にどう効くのか」という説明だ。一人ひとりのお客様にパーソナルに対応しなければならない販売現場では、とても難しい対応を迫られる。お客様がプロの知識を身に着け始めたことで、個々人のお客様の肌を正しく診断することと、お客様の希望をヒアリングして、求める製品をそろえ、エビデンスを提示して原料の説明から効果効能を納得してもらわなければならない。加えてお手入れの方法をアドバイスするのは必須だ。化粧品を提供するこちらとしては、末端の販売員まで、お客様の知識の上を行くプロにならなければ通用しない時代になった。

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