コラム
「日本流通産業新聞」5月15日号掲載2025.5.30(投稿日)
基礎講座Q&A vol.114 「通販化粧品会社にとって最適な組織体制とは?」

「日本流通産業新聞」5月15日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.114「Q .通販化粧品会社にとって最適な組織体制とは?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.通販化粧品会社にとって最適な組織体制とは?
長年にわたって業務のかじ取り役を、一人で仕切っていた創業者が勇退しました。
その後、全社で業務を分担する体制へと移行したものの、なかなかうまくいきません。
どんな組織体制が良いのでしょうか。(中堅通販化粧品会社)

A.時代に対応するため、”ブランド価値向上を担う”専任のマネージャー制を!

◆時代の変化と組織の変化 

 通販化粧品ビジネスは比較的新しい業界であるため、
「創業から約50年を経て今まさに代替わりを迎えている」といった会社も多いようです。ご相談のように、創業者がカリスマ的なリーダーシップで運営してきた会社は、ここ数年で大きく様変わりしています。
 
 通販化粧品の会社は、情報戦略の重要性が増しています。モノづくりも広告宣伝も、幅広い情報を取得したり、さまざまなメディアに精通したりしなければ対応できなくなりました。そのため各業務に多くの専門職人材が不可欠になり、一人ではなくチーム力で業務を運営していく必要が出てきました。
 つまりカリスマ経営者が一人で推進してきた時に利点となっていた、「迅速な意思決定」「明確なビジョン」「強い指導力」といったことは影を潜めて、集団の合意形成のための時間・手続きが、より必要とされるようになっています。これではますますスピードアップする競争に勝つことはできません。


◆新体制はプロ集団+指導者

 では新しい体制は、どのように考えるべきでしょうか。創業者のレガシーを誰か一人の後任者が引き継げば良いかというと、すでにそれは情報量の多さから難しくなっています。
 一方で、従来の日本の企業組織に見られる縦割り体制の考え方だけでは、”ブランディング”が不可欠な化粧品は成り立たないはずです。縦割り型の組織では、業務内容に応じた各部署が独立して業務を進めるため、情報共有や意思決定に時間がかかり、部門間の連携が不足しがちです。
 
 顧客視点や製品・ブランド全体に、一貫した戦略が必要となる化粧品ビジネスは、それだけでは難しいのです。
 そこでこの一般的な管理体制に加えて、「ブランドマネージャー」制、あるいは商品に応じた「プロダクトマネージャー」制を導入してはどうでしょう。
 これらは米国で発展したマーケティング手法の一つです。担当するブランドやプロダクトについて、
「消費者の動向」や「マーケットのトレンド」などを分析し、「ブランドに込められたメッセージ」「具体的な商品開発」「効果的な広告宣伝方法」、そして「ターゲット顧客へのコミットメント」といった、すべての戦略に責任を持つ旗振り役を作ることです。
 このマネージャーが専門職のプロ集団に指示を出すことで、組織の混乱を防ぎ、ブランドやプロダクトの方向性が明確になり、円滑な運営が可能になります。

 

◆ブレない考え方を発信
 化粧品ビジネスでは「コンセプト」はブランドの生命線でもあり、お客さまの心のよりどころです。
そのコンセプトにひも付いた、製品開発や販売方法などに、核となる”考え方の一貫性”がないと、
お客さまに不信感を与えてしまい、最終的には離脱されてしまいます。
 カリスマ経営者が活躍できたのも、その一貫性が信頼されていたからです。
であるならば、新時代の一貫性を担保するためには、前述した「マネージャー」制が適しているのではないかと考えます。
 ブランドを構成する、「ターゲット」から「商品開発」「広告宣伝」「PR」「フルフィルメント」「サービスの分野」までかつてのカリスマ経営者に代わって、コンセプトに沿って、組織全体をその方向に導くのです。
 そのような役割のリーダーが存在すれば、意思決定は早くなり、コンセプトがブレることもなくなります。
リーダーは専門職のプロたちに対して、明確な指示を伝え、実行させることになります。
 
 通販化粧品のビジネスは多くのスタッフが業務に関わっていますが、受け取るお客さまはお一人です。
お客さまとのお約束である”コンセプト”から逸脱せず、一人一人のお客さまに寄り添った方法で商品をお届けし、満足していただくことこそが、通販化粧品の大きな役割だといえるでしょう。だからこそ一貫性が大切なのです。

 

◆業務をトータルで見る目を
 このマネージャー制を導入している通販化粧品会社はまだ少ないようです。
しかし当社が、多くの通販化粧品会社さまと接するたびに思うのは、「トータルで考える戦略」を実施する必要性です。
 ブランドあるいはプロダクトのマネージャー制度ができれば、全責任を持ってスタッフをリードする人材が生まれ、チームワークの醸成や組織運営の効率化、顧客満足度の向上など、より大きな成果が期待できるでしょう。
 当社フォー・レディーでは、そんなマネージャーさまに寄り添い、同じように「業務をトータルで見る目」を養いながら、業務の支援サービスも行っております。
                                            

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