コラム
「週刊粧業新聞」7月14号掲載2025.7.18(投稿日)
激変するコスメマーケット 第109回 「どうせなら、面白い化粧品を作ろう!」

「週刊粧業新聞」7月14日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第109回 どうせなら、面白い化粧品を作ろう!』が掲載されました!ぜひ、ご覧ください。

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『激変するコスメマーケット』
第109回 どうせなら、面白い化粧品を作ろう!

個人的なことだが、最近映画館通いが続いている。なんの自慢にもならないが、これまで仕事以外に趣味らしい趣味もなかった私が、毎日のように映画館の空き情報をチェックしている。そんな自分の変化を姉に告白したら、「学生の頃よく授業をさぼって映画館に通っていたわよね」と何十年ぶりに怒られた。そして「確かに、この心地よさには懐かしい何かがある。私はこれが好きだったのだ」と思い返すことができた。

 

幾つになっても、好きなコトや好きなモノに触れているのは楽しい。仕事とは異なる「何か」が、心の中で沸々と湧き上がる感覚だ。私だけかもしれないが、仕事ではなかなか味わえない感覚だ。
言い訳がましく聞こえるかもしれないが、仕事が嫌だとか、飽きてきたという訳ではない。仕事は今でも十分に楽しみながらやっている方だと思うが、好きなコトに向かい合ったワクワク感とは異なる。なぜなら仕事は課題解決を最優先にするからだ。

 

仕事での話題は、今後の化粧品市場はどうなるとか、お客様はどう動くとか、得意先に何を提案すれば売れるようになるか等の話が多い。特に今の通販化粧品は、店頭販売やモールと違って「絶好調」という訳ではないので、新規獲得がうまくいかない、リピート顧客も育成できていない、ロイヤル顧客の囲い込みも手薄だ、等々目先の問題が山積みしている。

今日では、それらの課題解決対策をAIにアクセスして回答を求めたら、極めてまっとうな答えが瞬時に出てくる。我々の仕事は、それをいかに実行するかだけになる。そんな話題を得意先の幹部と話して、「AIに使われるのではなく、やはり仕事は面白く楽しくしたいね!」という話になって、冒頭の映画の話になった。

 

つまり「趣味のように」ワクワクしながら化粧品のビジネスができたらどんなに楽しいだろうか? ということである。これは想像だが化粧品を初めて世の中にリリースした昔の先人達は、そんな感覚で仕事をしていたのかもしれない。

そこで得意先幹部と意気投合したのは、「面白く、楽しく課題解決を進める」というミッションが与えられているとしたら、「我々の本気度が問われている」ということに行きついた。つまり、「面白く、楽しくやる」のであれば、いちいちデータやお客様に寄り添う戦略ではなく、自分がやってみたい商品を作り、自分がしたいサービスで、やりたいようにやればいいのではないかという結論に達した。好きなコトなら、本気になれる。どうせなら好きなコトに、本気で取り組む仕事をすべきだという訳だ。

経営者の立場では、なかなかそうもいかないことも多々あるが、それを十分承知の上で、改めて原点に帰って、やりたいコトを実行しようという発想だ。ところがいざ「好きなコトをやる!」と決めると、何のために、何を作るのか、自分用だとしたら何が欲しいか? 等々、見つめなおすことが多く出てくる。それは自分の生き方を振り返ることであり、自分が何を大切にしているかを改めて明確にしなければならないことだ。その上でやっと「面白い化粧品や、面白いサービスが出来上がる」と思う。経営者だけでなくスタッフが全員そんな感覚で仕事ができたら、それはすごいパワーになるだろう。

現状の打開策が生み出し難いならば、思い切って発想の大転換をし、自分の好きなコトで勝負するのも悪くない。

好きなコトを突き詰めることは、「自分とは何だったのかを再発見する場」でもある。コンセプトとはそんなアクションから生まれるのかも知れない。

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