コラム
『日本流通産業新聞』8月21日号掲載2025.8.25(投稿日)
基礎講座Q&A vol.117 「リピート率が伸び悩んでいます」

『日本流通産業新聞』8月21日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために
基礎講座Q&A vol.117「Q. リピート率が伸び悩んでいます」掲載されました!

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Q.リピート率が伸び悩んでいます

新規顧客獲得は厳しい状況が続いています。リピート率も回復せず、クロスセル企画は外れてばかりで、打開策が見つからない状況です。同時にさまざまなことに投資するのは難しいので、最優先でやるべきことを教えてください。
(中堅通販化粧品会社)

 

A.VIP会員制度でロイヤル客のおもてなしを強化しよう!

 

◆化粧品通販の仕組みが変化

最近、通販化粧品を取り巻く環境は劇的に変化しました。これまで店頭販売を主力としていた化粧品会社はほとんど通販と二刀流になりました。海外からは安価な化粧品が大量に流入し、通販も店販も席巻し始めました。

アフターコロナ、物価高の中、ポイント制のモールで商品を購入するユーザーも多く、自社サイトではなかなか購入いただけないという状況になっています。既存の国内通販化粧品会社にとっては、悪条件のオンパレードといえます。

「通販化粧品は、安くて、簡単に手に入る、便利な商品」という、かつてのイメージは完全に忘れられています。今や通販専業化粧品の価格は、化粧品全体の中でも中価格帯~高価格帯になっています。

それでもお客さまに支持され、売り上げを拡大していくためには、アジア等の新規マーケットに出ていくか、あるいは国内マーケットでは、お客さま一人当たりのLTVを上げていく以外に方法はありません。

 

◆LTV向上が急務だ!

新規顧客獲得コストが高騰する中では、一度獲得したお客さまを大切にして、長く愛用していただき、生涯LTVを少しでも高めてもらう以外に方法はありません。

そしてもはや「安物ではない通販化粧品」は、高価格帯ブランドと同等のサービスを提供しなければ支持されなくなるでしょう。

すなわち通販に加えて実店舗での販売や、サービスカウンターでのカウンセリング&お手入れのアドバイス、専用サロンでのケアと同等のサービスなどをする必要も出てきます。

LTVを向上させるためには、中価格帯~高価格帯の化粧品にふさわしい体制を整備し、きめ細かで付加価値の高いサービスを提供しなければいけません。LTVの向上には、単なる商品の提供を超えた、強力なブランディングが不可欠なのです。

 

◆ロイヤル顧客の重要性

しかし、すべてのお客さまを一律に優遇するのではなく、その中でも特に貢献度の高いロイヤル顧客に重点を置き、定期的に購入してもらう仕組みを作ることが大切です。

ロイヤル顧客は、1回商品を購入してくれるだけではありません。ブランドを継続して使い続けてくれる方々なので、企業に大きな利益をもたらしてくれます。

そんなロイヤル顧客を大切にするために有効なのはVIP会員制度を作ることでしょう。VIP会員制度を用いて、特別なお客さまをおもてなしすることで、継続して商品を使ってもらうだけではなく、ブランドの応援団としても機能してもらうのです。

 

 

◆VIP会員制度を作る

具体的には、頻繁にコミュニケーションを行うことです。試供品やプレゼントの提供、限定割引&カウンセリングなどの特別サービスの提供、参加型イベントへのご招待、アンケート調査への協力依頼などを通じて、きめ細かく接点を持つことがよいでしょう。

もちろん、過剰なサービスは逆効果になりかねません。重要なのは、ロイヤル顧客の気持ちに寄り添う必要があるということです。そして会社の考え方やコンセプトに沿った一貫性を持ったサービスをすることです。単に「モノ」を提供するだけでなく、ブランドメッセージや社会貢献活動についても発信することが大切です。なぜならロイヤル顧客は商品だけでなく、会社やブランドコンセプト全体にも関心を寄せているからです。

これからの通販ビジネスで成長を続けるためには、単に商品を売るだけでなく、お客さまの心をつかむ、「おもてなし」の精神が欠かせません。

ブランドを深く愛してくれるロイヤル顧客こそが、企業の持続的な成長を支える柱となります。一人一人に寄り添い、心から満足してもらえる特別な体験を提供することで、お客さまは単なる消費者の立場を超え、ブランドの熱心なファンへと育ってくれるでしょう。

お客さまとの間に確かな絆を築き、その「幸せ」を追求する「おもてなし」こそが、激しい競争を勝ち抜き、ブランドの未来を拓く鍵となるのです。

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