コラム
「週刊粧業新聞」8月21日号掲載2023.8.21(投稿日)
第87回「本気の“協業”がビジネスを発展させる」

「週刊粧業新聞」 8月21日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第87回 本気の“協業”がビジネスを発展させる』が掲載されました!

本文は、下記の通り。

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『激変するコスメマーケット』
第87回 本気の“協業”がビジネスを発展させる

 資生堂とヤーマンが手掛けるエイジングケアブランド「エフェクティム」が本格的に稼働し始めた。双方の開発力が結集された美容機器と美容液が、新たに日本と中国で販売を開始するようだ。
 最近、コラボレーションビジネスがいろいろなところで行われている気がする。業種やジャンルが異なる企業同士が手を組むことで、これまでにない切り口の商品が生まれたり、消費者に新習慣が定着して新たなマーケットを創出できたり、様々な可能性が出てくると期待している。市場の活性化という意味でも「コラボレーション」はとても面白い。化粧品業界にも昔から様々なコラボレーションビジネスが存在していた。今日では当たり前のようにマーケットが確立されている分野も、最初は「コラボレーション」からスタートしたビジネスだ。
 例えば、「ドクターズコスメ」。医師が監修する化粧品が日本でクローズアップされたのは30年ほど前だったと思う。当時からアメリカの化粧品市場ではドクターズブランドの比率が高かったが、徐々に日本でも人気を博して多くのブランドが生まれ、一大マーケットに拡大した。今では、総合化粧品メーカーのような品揃えで売上規模を誇るブランドもあれば、クリニックのみで販売するスタイルを守り続けている医師もいるなど、ひと口に「ドクターズコスメ」といっても様々だ。
 化粧品メーカーの協業相手は、他にも美容室やエステサロンがある。同じ美容というジャンルで、施術・接客のプロたちと手を組んでオリジナルブランドを販売するケースだ。ある程度の規模をもつサロンでは協業は当然となっているが、今後はさらにその枠を広げることで、施術レベルやサービスのクオリティを向上させ、より顧客ニーズを捉えたパーソナル化に役立つ商品開発などに踏み込むようになるのではないか。ヘアサロンがスキンケアやメイクまで手掛けられるようになれば、消費者にとってはさらに便利になると思う。
 化粧品メーカーと他業種の協業では、スポーツジムやホテルも考えられる。昔から女将が作ったコスメなどを販売している地方の温泉旅館もあるが、これをもっと進化させて「化粧品×旅行」のコラボレーションも考えられるのではないか? 化粧品プレゼント付きトラベルでも良いし、旅館でお手入れ会やメイクセミナー体験ができるなども面白い。
 他にも、私がぜひコラボレーションしてほしいと思うのは、「化粧品×家事・育児」である。子育て中の女性にもっと美容を楽しむ時間と心のゆとりをもってほしいからだ。日本では、もっとも化粧品を使って欲しい世代が子育てに忙殺されている。例えば、家事代行や子育て支援サービスの会社が化粧品メーカーと協業すれば、もっと彼女たちの役に立つ化粧品開発や育児情報の共有など、サービスの質の向上やバリエーション拡大につながるのではないか?
 さらにぜひコラボレーションをして欲しいのは、「化粧品×ファッション」だ。切っても切り離せない関係なのに、なぜかコラボとは縁遠い。どちらもお客様をキレイにするという役割や目的は同じはずだが、なかなか本格的なコラボレーションは生まれていない。お客様のキレイを目指す企業同士が協業することで、「日本女性をもっときれいにする」という課題に挑戦してくれたら、こんなに嬉しいことはない。
 企業間の協業を振り返ってみると、異なる文化と業界通念を持つ会社が同じ方向を向いて仕事をすることで、よりお客様のニーズに寄り添った商品やサービスを生み出すことを狙いとしているケースが多い印象だ。
 コラボレーションは、仕事の原点を見つめ直すきっかけや、協業相手と化学反応を起こすことで予想以上の成果が期待できるのではないかと思う。

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