コラム
「日本流通産業新聞」5月12日号掲載2022.5.12(投稿日)
基礎講座Q&A vol.81 「Q.シニア層のお客さまへの対応の教育方法は?」

「日本流通産業新聞」 5月12日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.81 「Q.シニア層のお客さまへの対応の教育方法は?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q.シニア層のお客さまへの対応の教育方法は?
 シニア向けの通販化粧品を販売しており、現在、売り上げは拡大しています。ただ、社員が若いためシニア向けの企画が思うようにまとまらず、販売促進や商品開発がズレている気がします。シニアについて学ばせる良い方法はないでしょうか?(中堅の通販化粧品会社)

A.とにかくシニアとの「接点」を増やすこと

◆シニア市場は競合激化へ
 これは、ほとんどの通販化粧品会社が持つ共通の悩みと言ってもいいかもしれません。実は、シニア向け化粧品の通販会社が伸び悩む要因の一つでもあります。
 特に、成長が著しい会社は若い社員が多く、ほとんどの社員にとってシニアの気持ちは「想像する」しかありません。今後、シニア層向け化粧品マーケットがますます広がってくることを考えると、必ず市場はさらに競合が激化するでしょう。生き残っていくためには、「想像」ではなく「リアル」なシニアを知っておく必要があります。

◆実際に接客させてみては

 シニア層のニーズを商品やサービスに反映するのに一番良い方法は、シニア層にスタッフになってもらい、接客をしてもらうことです。商品開発に携わってもらうのも良いかもしれません。ただ、現実的には難しいという企業が多いはずです。
 そこで、社員への教育として効果的なのは、若い社員をなるべくシニア層に近づけることです。知らないものは理解できないので、さまざまな方法を使い、シニア層との接点を多くする工夫が必要です。
 まずは店舗で実際にシニア層の接客をしてもらいましょう。おそらく、イメージしていた「シニア層」よりずいぶん活動的できれいなお客さまが多いことを実感するはずです。
 通販会社なのですぐには店舗を作れないというのであれば、若い社員にコールセンターで電話を取ってもらうのも有効な手段です。実際に新入社員の最初の配属は、コールセンターで電話対応という会社は多いはずです。電話を通じてお客さまの声を知り、お手紙やコメントからリアルなシニア層の声を聞くことができます。
 ほかにもシニア層が参加しやすいイベントを開催するという方法があります。気軽にお客さまに集まっていただく仕組みを作りイベントを開催しましょう。シニア層に接する機会は多ければ多いほど学ぶことも多いからです。「あ、こういう方々のために化粧品を作るのか」と若い社員の理解が深まるはずです。ちなみに、メークイベントなどを開催した際はポーチの中身を見せてもらえば、「どんな化粧品をどんな風に使っているのか」を観察することができます。

◆より深くシニア層を知る

 ここまでは「接点を増やす」ためによく行っている方法です。しかしこれだけでは、「理解する」といっても限界があります。よりビジネスに結び付けるためには、さらなる工夫が必要です。
 私のお勧めは、「ペルソナ像=オピニオンリーダーのイメージ」を作ること。できれば身近にいるシニア女性をモデルとして設定し、その人を観察することでリアルなシニア層を理解しましょう。そして、「ペルソナ像」を作り、命を吹き込むように仮の名前を付けたり、出身地や趣味、性格なども細かく設定し、その「ペルソナ像」をお客さまのイメージ像として決めることで、ターゲットイメージが明確になります。形式だけにならないよう、イメージ像に人格を与え続けることも大切です。

◆お客の「心」まで理解したい

 こうした調査を通じてポイントとなるのは、「シニア層にもいろいろな人がいる」ということに若い社員が気づくことです。
 例えば、化粧崩れしにくい商品が人気の会社と、肌に優しいエイジングケアが人気の会社では、お客さまの特徴が微妙に異なります。調査を通じて自社のお客さまの特徴をよく知り、理解することです。
 お客さまとの接点を増やすには、お宅に訪問して密着インタビューをするのも良いでしょう。ライフスタイルのほか、隠れたニーズを引き出すこともできるかもしれません。
 また、ロイヤルのお客さまには担当者を決め、専属のフォロースタッフ制度にすることもお勧めです。担当制になると、社員はそのお客さまのことを常に考えるようになります。「この前はこれを買っていただいたから、今度はこれが必要になるかな?」など、想像力を働かせられるようになり、やがてシニア層のお客さまのことを深く理解できるようになります。
 こうした「接点」や「知る」努力を徹底してやらない限り、シニア層を知らない社員がビジネスを続けることになります。大切なのはシニア層のお客さまの「姿」だけでなく「心」までを理解できるようになることです。

このページの上へ