コラム
「日本流通産業新聞」1月18日号掲載2024.1.18(投稿日)
基礎講座Q&A vol.99 「Q.新規客が獲れない。何をどう対策すべきか分かりません。」

「日本流通産業新聞」 1月18日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.99 「Q.新規客が獲れない。何をどう対策すべきか分かりません。」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.新規客が獲れない。何をどう対策すべきか分かりません。
コロナ禍をうまく乗り切れたと思い、一気に巻き返しを図ろうと考えていたのですが、予想に反して新規客が一向に伸びません。広告宣伝費で予算がひっ迫し、このまま成果に結びつかなければ今期の赤字は避けられない状態です。オファーが悪いのか、商品が悪いのか、対策すべきことの正解がわからず途方に暮れています。(中堅通販化粧品会社)

A.「急激に変化する環境」に対応し、ブランド力の強化を

 

◆今こそ踏ん張り時

 私は40年以上この業界にたずさわっておりますが、最近実感するのは通販化粧品にとって今はこれまでで一番厳しい「真冬」の時代ということです。
 それでも、これからの成長を見据えて現状を乗り切るための戦術と体力を身につけなければなりません。そのためには、いま起きている急激な変化の内容を分析し、対応策を考えましょう。
 まず一つ目は、消費者と市場環境の変化です。二つ目は売り場環境の変化、三つ目は通販化粧品業界そのものの変化、四つ目は販売業態間の競争の変化、五つ目は世の中のおおきな潮流の変化です。
 化粧品通販各社はスキンケアが主力商品の会社が多く、コロナ禍の初期は、堅調に推移したようです。一方、閉店を余儀なくされた店販や訪販の化粧品会社は、対応策としてオンラインを活用したカウンセリングやイベントなど、非対面のサービスを開始し、本格的に通販事業にまで乗り出すようになりました。
 そして、ウィズコロナ時代となった今日では、店販と訪販の各社は、本業+通販の二刀流のビジネススタイルが定着しています。そのため化粧品通販市場は玉石混交のブランドがひしめき合っているというのが現状と言えます。

◆新規客至上主義からの脱却

 そんな激戦の化粧品市場で生き残るためには、既存の通販事業会社こそ店販や訪販の強み、例えば五感に訴える顧客体験型の販売戦略や美容部員の優れた提案力、パーソナルなサービスを取り入れるべきでしょう。
 そこに通販企業の得意分野であるデータベース・マーケティングを加えることで、マルチチャネル化した化粧品販売の「売り場」の変化に対応できるのではないでしょうか。
 次は、業界の変化です。これまで、通販化粧品会社にとって顧客を増やすことが業績アップのセオリーでした。ところが、前述のとおり多くの企業が化粧品通販市場に参入してレッドオーシャン化した現在は、顧客獲得単価が高騰し新規獲得が非常に厳しい時代になっています。
 しかも、新規獲得してもすぐに離脱される現状では多額の広告費を投資しても、回収するまでには長い時間がかかります。
 そのため、この業界の変化に対応するためには顧客育成の考え方を切り替える必要があります。いつまでも新規獲得で業績を伸ばしてきた過去の成功体験にしがみつくのではなく、一人一人のお客さまの購入金額をいかに上げるか、LTVを重視すべきなのです。
 つまり、これからの通販化粧品事業の成長において要となるのは、顧客の数より質。そのためには、品揃えや販売手法も変化させていく必要があるのです。

◆「対話力」から共感→愛着へ

 LTVアップのためには、より多くの商品をより長く使っていただけるロイヤル客を育てなければなりません。そのためには、高い商品力とサービス力が欠かせません。しかしそれだけでは十分とは言えません。
 店販や訪販から参入してきたブランドは、通販にはない「対話力」を武器に売上を伸ばしてきた業態です。この新たな競合を相手に通販ブランドが戦うには、オンラインカウンセリングなどお客さま一人一人の嗜好やニーズに応えるパーソナライゼーションを推進することが、顧客満足度を高めロイヤル化へつなげるポイントです。
 店販や訪販のような個人プレーとは違い、組織的な販売力で成長してきた通販が、コミュニケーションスキルをアップすれば、全体を底上げする力になり得ます。
 そして最後は、「世の中」の変化への対応です。インターネット時代になり、顧客とのコミュニケーションでもっとも大切なのは「共感」を得ることです。
 お客さまが主役の時代にマッチした商品でなければ売れない4C(顧客価値・顧客コスト・利便性・コミュニケーション)時代の現在は、コミュニケーション(共感)にプラスして、いかにブランドや商品に対して「愛着」を抱いてもらうかが、成長の鍵を握ると思います。
 これらの五つの変化を敏感に察知し対応することができれば、必ずいまの状況を乗り越えることができると思います。

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