コラム
「週刊粧業新聞」2月15日号掲載2021.2.15(投稿日)
第62回「「好きな化粧品」だけを扱う仕事が成立するか?」

「週刊粧業新聞」 2月15日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第62回 「好きな化粧品」だけを扱う仕事が成立するか?』が掲載されました!

 

本文は、下記の通り。 

 

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『激変するコスメマーケット』

第62回 「好きな化粧品」だけを扱う仕事が成立するか?

 

個人的感想だが、私にとってコロナ禍の中で数少ない「良かったこと」は、自分を振り返る時間が多くなったことだ。そして普段はあまり考えることが少なかった「自分にとって、本当に大切なコトやモノは何か?」を改めて考えることができたことはとても有意義だった。これはたぶん私だけではなく、多くの人が同じような時間の過ごし方を経験したのではないかと思う。
人は困難に直面するといろいろなことを考え始めるようだ。ましてゆっくりとした時間ができれば、より多くのことを深く考える。そのため、今回のコロナ禍では、じっくりと今後の生き方を考えた人も多いのではないだろうか?
仕事の仕方についても「今やっていることは、本当に価値のあるものかどうか」を振り返っている人が多い。リモートワークが広がったこともあり、「自分の働き方は自分で選べる時代」という考え方が広がって、好きでもないことを長時間労働で会社人間化しながら働くのは嫌だという感覚の人が多くなってきたようだ。もちろん人生設計を考えれば「人生の主人公は自分」なので、やっと多くの選択肢が出てきたという印象だ。しかし世の中には、自分の好きなことを仕事にできる人はまだ少ないはずだ。もちろん中には、仕事と趣味が一致している恵まれた人もいるはずだが、多くの労働者は経済的生活とまあまあ嫌でないこととの折り合いを付けて仕事をしているのではないかと思う。
ところがコロナ禍を経て、「嫌なことは嫌だ」と言える環境が出てきたので、この際思い切って「同じ目的を持った者同士が集まれる仕事環境」ができてもよいのではないかと考えた。例えば化粧品業界という広いジャンルではなく、「〇〇〇の目的で〇〇〇化粧品を作る会社」というコンセプトが設定されていて、そのコンセプトに賛同する人たちだけで運営するブランドや会社があってもよい。単なる「化粧品会社」で働くのではなく、同じ目的やモノづくりへの想い、解決したいニーズなど、問題意識を共有できる人々が集まった会社組織のようなものができたら強いのではないかと思う。しかも働く期間も限定して、スポーツのプロ選手のように〇カ年契約などで社員募集するのも面白い。会社という概念や人材募集の方法もまったく今とは異なるかもしれない。
現在のような幅広い人材募集ではなく、例えば「世の中のあらゆる女性の、シワの悩みを解決する会社」というコンセプトが先に存在して、それに賛同する人材、企業活動を実行する「仲間募集=人材募集」というような感覚だ。もしかしたら参加する全員が「経営者」でも良いかもしれない。何しろ目的が共有できれば、結束力は強くなるし、組織体として強力なパワーを発揮できるかもしれない。大企業病でやらされ感満載の仕事の仕方よりもはるかに面白く、一人ひとりの能力は大きく開花させることができる。各ブランドがお客様に対する「ベネフィット」をもっと明確に主張できれば、より分かりやすいブランドになり、ブランド毎の個性をもっと際立たせることができるだろう。
コロナ禍の中で、より目的が細分化された化粧品業界をイメージして、身勝手な人材の活用方法を考えてみた。こんな組織づくりは幻想かもしれないが、今は「人材選び」もシャッフルするのに最適な時だ。働き方もキャリア形成も見直す時でもある、シフトチェンジをすれば、新たな能力開発も可能だと思う。

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