コラム
「日本流通産業新聞」4月6日号掲載2023.4.6(投稿日)
基礎講座Q&A vol.90 「Q.読んでもらえる情報の届け方とは」

「日本流通産業新聞」 4月6日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.90 「Q.読んでもらえる情報の届け方とは」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.読んでもらえる情報の届け方とは
 毎月顧客に向けて会報誌を発行していますが、特集や記事の打ち出し方がマンネリ化して、このままでは費用対効果の面からも、継続発行が見込めません。もっとお客さまに役に立つ、読まれる会員誌を作るにはどうすればよいでしょうか。

(中堅通販化粧品会社)

 

A.きれいになった…の先にある楽しい生活の提案を

◆紙媒体は激減

 毎月、会員情報誌を発行されているとは尊敬に値します。最近では紙媒体を発行する会社が少なくなり、とても残念です。ぜひ継続してほしいと思います。先日、現在発行されている通販化粧品各社の会員情報誌をテーブルに広げて比較してみました。
 多くの会社はキャンペーンのお知らせや商品の使い方がメインの記事で、購入に困らないようにカタログページが添えられています。購入履歴の浅いお客さまにはたいへん役に立つのですが、長く購入してくださっているお客さまはよく知った内容なので飽き飽きしてしまいます。
 もちろん多くのお客さまは、キャンペーンは見逃したくないので必ずチェックしますし、使い方は必要不可欠な情報です。しかし、毎回同じようなことを繰り返し伝えられると関心がなくなってしまいます。その他、商品の効果効能をアピールする記事や、いかに優れた美容成分が配合されているかなどを長々と解説されたところで、お手入れの前に「勉強させられている」感じになってしまうのではないでしょうか。
 正直なところ、通販化粧品各社の情報誌や冊子、DMは会社側から発信したい情報があふれており、お客さまにとっては必要な情報だが、わざわざ見たい、読みたい情報ではありません。もちろんお得な情報やキャンペーンなどは知らせてもらわないと困る情報です。メルマガの開封率も「お得な情報」があると跳ね上がります。
 しかし、私はこのままでは、通販化粧品会社の情報発信力は衰えるばかりではないかと心配しています。

◆会社目線から脱却

 記事内容が会社の都合ばかりなのは、発行目的がレスポンス獲得(注文を取る)中心になっているため、どうしても企業目線になってしまうことは仕方がないことだと思います。
 まして無料で配布している会員情報誌ならば当然とも言えます。ところがこれが販売目的の有料の雑誌になると、お客さまが欲しい情報を届けなければ雑誌そのものを購入してもらえないので、お客さま目線の情報発信は必須です。これが大きな差になります。
 現在人気のシニア向け雑誌「ハルメク」などがその典型です。雑誌が売れて発行部数が増え、並走する通販ビジネスも好調のようです。ハルメクにはシニア女性が知りたいこと、やりたいことがあふれており、具体的な教則本になっているのです。その後から商品が付いてくるイメージなので、自然に受け入れやすいのです。
 通販各社の情報誌は最初に商品ありきで、売り込むための情報発信や無理やり納得させようとする印象があり、どうしても拒否反応が出てしまいます。

◆健食の冊子に好感

 通販化粧品会社の情報提供について、そんな考えを巡らせていると、ある健康食品会社から届いたパンフレットが良いヒントになりました。
 少し歩くことに違和感を覚え、ある健康食品の会社から、「歩く」ことをサポートするサプリメントを定期購入し始めました。最初は大量に同梱されてくるパンフレット、冊子類に辟易してしまいました。内容的には成分の解説、他のお客さまの声、サービス案内、クロスセル商品、歩き方まで。まるで懇切丁寧に歩くことを強要されているような印象でした。
 ところが最近届いた小冊子はとても好感が持てました。歩くことでどんな楽しみが発見できるかが記事になった小冊子なのです。例えば違う道を歩いてみよう、散歩がてら近くの街を探索しよう、新しいお店や街角に行こう、歩くことで季節の花に出合おう、風景を見つけよう……などなど、つまり歩くことでどんないいことや出合い、発見があるかを提案しているのです。これはどんなにいい成分が入っていると言われるよりよほど効果的です。歩くことによって得られる楽しみがすぐにイメージできるため説得力があるのです。
 化粧品ならば、お手入れをして、メークをして、きれいになった自分が、久しぶりに街に出かけたり、観劇や美術館に訪れたり、親しい友人とお食事に出かけたり、他人に褒められたり、とにかく「きれいになった後にどうするか、どうなるか」を提案しているようなものです。
 お客さまに、そんな「きれいになった後の自分」をイメージしてもらって、生活の楽しみを提案できれば、情報提供のコンテンツとしては、とても価値があるものだと思います。

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